海外進出はここ1、2年が勝負の時になる
農林水産省と経済産業省が野菜工場の導入支援を行っていることも追い風になり、関心を示す企業が増えている。三菱総合研究所は「植物工場研究会」を2009年3~9月に開催したところ、製造業、食品会社、種苗会社、金融機関など78社が参加した。
野菜工場のニーズは国内にとどまらない。
三菱化学は40フィートコンテナ(長さ12.2×幅2.4×高さ2.9m)に最新システムを積み込んだ「コンテナ野菜工場」を開発し、2010年1月12日から売り出している。すでに中東カタールでの販売が決まり、4月に納入する。
砂漠や極寒の地でも野菜を作ることができて、コンテナなので輸送も簡単だ。適温に保つ空調設備、水を循環濾過して再利用する水処理設備、光合成の光源となる照明設備など、野菜の栽培に必要な設備を完備した。1日当たり50株程度のレタスや小松菜など葉物野菜を収穫することができる。太陽電池なども備え付けられ、省エネルギーも可能となる。
価格は1台5000万円から。今後は年間10基程度の販売を見込んでいる。
前出の三菱総合研究所の研究員は野菜工場の海外進出について、
「ここ1、2年が勝負の時になるだろう」
と見ている。
海外ではオランダとイスラエルが野菜工場の先進国だが、いずれも太陽光を使うもので、日本が得意とする完全密閉型は普及していない。しかし油断は禁物だという。近年、中国で日本の野菜工場への関心が高まっていて、大学などで研究開発が進んでいるからだ。
一方、野菜工場の鍵を握るのは光や温度などを制御するソフトウェアで、その知財管理をしないと技術を盗まれる危険があり、目下の課題となっている。