対立組織の幹部が乗った車にダンプカーで突っ込んだ暴力団組長が、法廷の場で驚くべき犯行動機を告白し、話題になっている。その理由は、「2ちゃんねるに『対立する組にびびっている』と書かれていた」というもの。暴力団関係者が2ちゃんねるの利用を公の場で告白するのは極めて異例だ。
公判が開かれたのは、09年9月24日に福岡県久留米市で起こった暴行事件をめぐってだ。事件は、指定暴力団道仁会(本部・同県久留米市)系組長の被告(29)が、盗んだ大型ダンプカーで、対立する指定暴力団道九州誠道会(本部・同県大牟田市)最高幹部が乗った乗用車に突っ込んだ、というもの。けが人はいなかった。
「カタギでは知らないことが書かれている」?
殺人未遂や窃盗での起訴は困難だと判断され、09年10月になって暴行罪で起訴された。被告は11月27日の初公判で起訴事実を認めたものの、10年1月14日に開かれた論告求刑公判で、驚くべき発言が飛び出したのだ。弁護側の被告人質問で犯行動機を問われ、「2ちゃんねるに『道仁会が九州誠道会にびびっている』と書き込まれ、腹立たしかった」と答えたというのだ。さらに、検察側から、関係者以外が書き込んだ可能性を指摘されても、「カタギでは知らないことが書かれている」などと反論した、という報道もある。
道仁会と誠道会は元々同じ組織だったが、会長人事をめぐる対立で06年に分裂。それ以来福岡・佐賀などで抗争を繰り返し、双方に死者が出るという「犬猿の仲」だ。
被告が2ちゃんねる内のどの掲示板を見たかは不明だが、2ちゃんねる上には、関係者でないと分からないように見える内容が多数書き込まれているのは事実だ。
例えば、2ちゃんねる上の「アウトロー」と呼ばれる掲示板では、道仁会と誠道会に関連するスレッドが立っている。タイトルは、「道仁会は誠道会と山口組には勝てません」というもの。09年7月7日にスレッドが立てられ、比較的コンスタントに書き込みが続けられており、現在では5スレッド目に突入している。