1円になってもその後3~5円の値動きが見込める?
数年前まで、「1円株」を買う個人投資家にはマニアが多かった。紙くずになるのを承知で買う、株券を記念にしようというコレクターだ。しかし、それも09年1月に始まった株券の電子化によっていなくなった。
一方、株価が1ケタ台のギリギリまで投資して儲けようという個人投資家が増えていて、なかには「整理ポストに指定されてから(清算までの1か月)が勝負」という猛者もいる。その個人投資家は日航株についても、「1円なら買いたい」と漏らす。「信用取引をしている投資家も少なくないはずで、1円になっても、買い戻しが入り、その後に3~5円の値動きが見込める」と読んでいる。
こうした個人投資家がマネーゲームに参戦する背景には、いわゆるデイトレーダーやインターネット取引の存在がある。相場をチェックしながら機動的に売買できることや売買手数料が安くなったことで、「1円」で投資しても以前より多く儲けられるようになったためだ。
とはいえ、いまの日航株は1円、2円で値が付いても、きわめて多くの投資家が取引成立を順番待ちしている状況での投資になる。まして、買いと売りとの両方を成立させないことには利益は得られない。そのことを考えると、かなり高いリスクの取引であることは間違いない。ある証券マンは「ほとんど(成立する)可能性はないと思ったほうがいいです」と、クギを刺す。