出版大手21社が新法人 電子書籍化取り組み強める

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   電子書籍の普及が広がる中で、大手出版社21社が社団法人「日本電子書籍出版社協会」を立ち上げ、デジタル著作物の規格や著作権の在り方について協力して取り組みを強めていくことになった。

   調査会社インプレスR&Dによると、2008年度の国内電子書籍市場は464億円で、前の年に比べて31%も拡大した。アマゾンの電子書籍端末「キンドル」が日本でも2009年10月に売られはじめ、日本語版発売も噂されている。ソニー製「リーダー」も米国電子ブック市場で人気を博している。2010年は「電子書籍元年」という見方も広がってきた。

講談社や光文社、角川書店など21社が参加予定

   そんな中で、日本の出版社が2010年2月、一般社団法人「日本電子書籍出版協会」を立ち上げる。参加を予定しているのは、講談社や光文社、角川書店、集英社、文藝春秋など21社だ。参加出版社が書籍のシェアの9割に及ぶとも言われている。

   「日本電子書籍出版協会」の母体は、2000年に立ち上げられた任意団体「電子文庫出版社会」だ。同会が運営してきた電子書籍の販売サイト「電子文庫パブリ」を引き継ぐとともに、活動を拡大する。電子出版物の規格を整え、著作物の取り扱い窓口となることを想定している。場合によっては行政に働きかけていくことも考えられるという。

   参加する出版社のあるデジタル部門担当者は「電子書籍がどうあるべきか考えていく狙いがある。(電子書籍は著作権の問題などで)出版社が知らないところで、一人歩きしてしまった部分もある。各社ごとの対応では及ばないこともあるが、こうした形なら発言力を強めることができるだろう」と話す。

雑誌デジタル化の推進組織も発足

   一方、日本雑誌協会は2009年7月、雑誌デジタル化の推進組織「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」を立ち上げた。日本雑誌協会に参加する出版社だけでなく、IT企業や携帯電話会社、広告代理店なども名を連ねた。コンソーシアムでは、雑誌専門のポータルサイトを構築したり、少額決済の仕組みを検討したりするとともに、デジタル化にともなう著作権処理のルール化も検討している。雑誌売上の伸び悩みがある中において新ビジネスモデルを模索し、2011年度の事業化を目指している。

   また、2009年4月には朝日新聞社が主体となった無料インターネット百科事典「コトバンク」が開設された。サイト内には出版社の枠を超えて、朝日新聞社「知恵蔵2009」、講談社「デジタル版日本人名大辞典+Plus」、小学館「デジタル大辞泉」などが並んだ。発足時は44辞書・事典、合計43万項目を網羅。辞書休刊が相次ぐ中で、信頼性が高い大型用語サイトとして、フリー百科事典Wikipedia超えの期待が寄せられていた。

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