普天間基地の移設先をめぐり「閣内不一致」が目立った鳩山内閣で、またもや足並みの乱れが露呈した。武器輸出3原則の見直しを公言した北澤俊美防衛相に対して、鳩山由紀夫首相が「口が軽すぎた」と批判したのだ。政権発足から100日以上が経過しても、あいかわらず閣僚が好き勝手なことを言っている。
「多少、口が軽すぎたかなと思う」
北澤防衛相は2010年1月12日、東京都内で開かれた防衛関連の業界団体の会合で、
「我が国には武器輸出の3原則がある。三木内閣のときに大きな縛りをかけ、その後は個別の案件について特例を設けながらやってきたが、そろそろこういう基本的な考え方を見直すこともあってしかるべきと思っている」
と発言。武器輸出3原則を見直すべきだという考えを明らかにした。
ところが、社民党の福島瑞穂党首は「3原則の見直しは認められない」と北澤防衛相を批判。鳩山首相も
「日本が世界に向けて、平和国家としての宣言をしている。その1つが武器輸出3原則を守るということだ。いまこの状況のなかで、武器輸出3原則というものはやはり堅持をすべきもの」
と北澤防衛相とは異なる見解を表明し、「多少、口が軽すぎたかなと思う」と非難した。
北澤防衛相は09年12月、米軍再編問題にからんでグアムを視察したとき「日米合意から大きく外れる」と発言。普天間基地の移設候補としてふさわしくないとの考えを示したが、グアムは社民党が国外の移設先としてあげているほか、鳩山首相の念頭にもあったとされる場所だ。
そのため、平野博文官房長官から「軽率な発言」と注意される事態を招いたが、今回はそれと似たようなケースだ。