固定電話での世論調査に問題点  若い世代で実態とズレ?

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専門家は、ネット調査へ移行を予想

   選挙情勢の調査については、統計数理研究所の田村副所長はシンポで、大きなゆがみが生じていないとの見方を示した。それは、投票に行く人は、固定電話を持っている中高年層が中心になっているからだ。実際、2009年8月の衆院選では、ほぼ世論調査結果通りに民主党が大勝した。

   ところが、若い世代に限った世論集計では、話が別だ。

   総務省がまとめた08年の調査によると、30代以上では9割以上が固定電話を持っているのに対し、20代では54%に過ぎなかった。対して、ケータイを持っている20代は、100%だった。若い世代は、世論の先行指標となるだけに、ケータイユーザーへのフォローも必要なようだ。

   ケータイ抜きの世論調査が、全体の結果をどれだけゆがめるのか。

   日本大学の中瀬剛丸教授(社会調査)は、こうみる。

「若い人の人口は比較的少ないですし、携帯しか持っていない人を含めないことによるゆがみは小さいと思います。ただ、最近の世論調査では、こうした人を含め、調査に答えていない人の割合が増えており、答えた人と性質の違う人たちでありうる点で問題があります。例えば、一人暮らしの若い人に、固定電話を持っていない割合が高いといったことです」

   とはいえ、現状のネット調査では、偏りが大きいため、中瀬教授は、いくつかの調査をミックスさせることを提案する。

「違う調査方法を混ぜるのは間違いとされてきましたが、非回答者の問題は大きくなっています。ネット調査を併用して修正したり、非回答者を推計する技術を発達させたりすることが必要でしょう。ネットは、速くて安いので、将来的には電話調査に取って代わる可能性があると思います」
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