長谷川洋三の産業ウォッチ
コマツ会長の憤懣:CO2削減「米国にもの申す」

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「米国に物申すべきことは、米国はなぜCO2削減の国際的枠組み作りにもっと積極的に関与しないのかということだ。沖縄の米軍普天間飛行場移設問題も大事だが、地球温暖化問題はもっと世界共通の問題だ」

   日本経団連の地球環境委員長で、コペンハーゲンで開かれたCOP15に民間代表として出席したコマツの坂根正弘会長は2010年1月5日、東京・内幸町の帝国ホテルで開かれた経済3団体共催の賀詞交換会でこう強調した。

   「欧州勢などが排出権取引など取引問題を中心に動いていたのに対し、日本は官民あげてCO2を削減に取り組んでいることに各国の評価は高かった。しかし肝心の米国と中国が相手の批判をするだけで合意形成に積極的に動こうとしないことは非常に腹立たしかった」と憤懣やるかたない表情。「鳩山首相もCO2の25%削減構想を打ち出したこと自体は悪くはなかったが、これを国内だけで実現することは不可能。排出権取引を含め、内外一体で削減に取り組まなければ進みようがない」と指摘した。

   経済3団体の賀詞交換会では経済同友会代表幹事の桜井正光リコー会長が「鳩山政権にはそろそろ不満の声が出始めている。マニフェストを修正することがあってもよいのではないか」と発言するなど、経済人の対政界姿勢も一様でないことを見せ付けた。こうした中で登壇した鳩山首相は「マニフェストは手直ししてもよいという意見もあったが、子供手当ては実現させる。変化には戸惑いも抵抗もあるが、政権交代の思いを共有して欲しい」と強調した。

   会場には麻生前首相も現れ、取り囲んだ経済人に愛嬌をふりまくなど、経済人の物申す相手も多極化しつつある。


【長谷川洋三プロフィール】
経済ジャーナリスト。
BSジャパン解説委員。
1943年東京生まれ。元日本経済新聞社編集委員、帝京大学教授、学習院大学非常勤講師。テレビ東京「ミームの冒険」、BSジャパンテレビ「直撃!トップの決断」、ラジオ日経「夢企業探訪」「ウォッチ・ザ・カンパニー」のメインキャスターを務める。企業経営者に多くの知己があり、企業分析と人物評には特に定評がある。著書に「クリーンカー・ウォーズ」(中央公論新社)「ウェルチの哲学「日本復活」」、「カルロス・ゴーンが語る「5つの革命」」(いずれも講談社+α文庫)、「レクサス トヨタの挑戦」(日本経済新聞社)、「ゴーンさんの下で働きたいですか 」(日経ビジネス人文庫)など多数。


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