賛否が分かれる日本の世論
永住外国人の地方選挙権については、民主党が結党以来の基本政策として掲げ、09年夏の総選挙前に発表した「政策INDEX2009」でも「早期実現」をうたっている。連立与党を組む社民党に加え、公明党や共産党も賛成の立場だ。自民党は、谷垣禎一総裁が11月に「しっかり議論する必要がある」と述べるなど慎重な姿勢を見せるが、明確に反対の立場を表明しているわけではない。
マスコミの中には、憲法が定める国民主権に反するとの指摘もある。産経新聞は1月11日付けの社説で「国の主権が損なわれかねない重大な問題である」と主張。同紙の榊原智記者は「地方参政権付与は国民主権の根幹をなす(憲法)15条違反の疑いが強い」と書いている。
一方、最高裁は1995年2月28日の判決のなかで、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの」については、法律で地方選挙権を付与しても違憲ではないと述べている。この判断自体が法的拘束力をもつわけではないが、推進派の根拠の一つとなっている。
国民のなかでも賛否が分かれている。毎日新聞が2009年11月に実施した世論調査によると、賛成59%、反対31%という結果だった。だが、インターネットの政治情報サイト「Yahoo!みんな政治」が2010年1月に実施したアンケートでは9割以上が反対とまったく異なる結果になっている。