経営危機の日本航空(JAL)が、会社更生法で法的整理をした上で、企業再生支援機構のもとで再建が進められる方針が固まった。政府・機構ともに、通常通りの運航を維持したい考えだが、一般の乗客にとっての関心事は、マイレージや株主優待券の行方だ。上場廃止の可能性が相次いで指摘される中、これらのサービスは、どうなってしまうのか。
利用者にとってもっとも身近な航空会社に関連するサービスと言えば、マイレージサービスだ。野村総合研究所の調べによると、07年度に国内航空2社が発行したマイルの額は714億4850万円相当。このうちJALは300億~400億を占めるものとみられる。
過去の倒産でもマイレージサービスは継続
現段階では、再生支援機構では、利用者離れを防ぐために、マイレージの全額保護を行う方針だとも伝えられている。過去に経営危機に陥った航空会社の事例をみていくと、同時多発テロの影響で、02年に米ユナイテッド航空の持ち株会社が会社更生手続きを申請した際は、マイレージサービスは継続された。デルタ航空が経営不振のノースウエスト航空を買収した際も、マイルは引き継がれ、交換比率も変わらなかった。一方、01年に経営破たんして運航が停止した豪アンセット・オーストラリア航空では、マイルが完全に失効している。運航が継続されるかどうかが、ひとつの分かれ目になると言えそうだ。
ただし、08年4月には、ANAとJALでは、特典航空券を交換するのに必要なマイル数を、一部の区間で増やすという措置を行ってもいる。今後、「税金を投入するのに、マイルは維持されるのか」という声も予想されることから、08年と同様の利用者に不利な取り扱いが行われる可能性も残っていると言えそうだ。
首都圏の金券ショップではANAと開きが
マイルの次に関心が高いと言えそうなのが、株主優待券だ。JALの株主優待券1枚を使うと、国内線が正規料金の半額で1回利用できる。持っている株の数に応じて5月と11月に発行され、有効期限はいずれも翌年5月だ。JALもANAも、ほぼ同様の取り扱いで、株主以外にも譲渡可能なことから、金券ショップなどでも人気が高い。
法的整理になった場合のJALの株主優待の扱いについては明確な規定はないものの、JALの経営危機をうけて、すでにJALとANAとで取引価格にも開きが出始めている。
09年のクリスマスの段階の価格を見ると、首都圏の金券ショップでは、JALが1枚あたり2600~4000円、ANAが3800~5000円程度。ところが、1月12日時点での「ヤフーオークション」での取引価格を見ると、JALが1枚あたり2300円~3000円なのに対して、ANAは3300円~4100円。優待券の有効期限が迫るなか、両社とも値下がり傾向だが、JALの方が、やや下げ幅が大きいことがうかがえる。
こちらも先例を振り返ってみると、02年に民事再生法の適用を申請し、100%の減資に踏み切った北海道国際航空(エア・ドゥ、非上場)では新たな優待はなくなったものの、すでに発行してあった優待券は、有効期限までは従来通りの扱いだった。
仮にJALが100%減資となった場合、JALの株主優待券は、現在出回っている10年5月末有効期限のものを最後に発行されなくなる可能性もありそうだ。