日本航空の再建問題は、官民ファンドの企業再生支援機構による監督の下、会社更生法の適用による法的整理で抜本解決を目指すことになった。政府は2010年1月12日、前原誠司国土交通相がメガバンクの首脳に、日航に会社更生法を適用する方針を伝え、正式に協力を要請した。
債権者と日航との協議に基づく私的整理を主張してきたメガバンクの主張は受け入れられず、銀行団は追加の損失計上を迫られる可能性がある。銀行団は法的整理をしぶしぶ容認したものの、感情的な反発は根強い。支援機構はメガバンクとの間に深い溝を残したまま、日航再建に取り組むことになる。
「反対しても無駄」とメガバンク
政府が、企業再生支援機構が主張した法的整理を支持し、日航は19日にも会社更生法の適用を東京地裁に申請する。これを受け、法的整理に反発してきたみずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行のメガバンクも「政府の意向が決まった以上、反対しても無駄」(首脳)と、消極的ながら「容認」に転じた。
支援機構は株主責任を厳格に問うため、上場廃止(100%減資)にする案を主張し続けた。法的整理となれば、債権放棄はもちろん、メガバンクが保有する優先株も普通株とともに「紙くず」になり、日航に投融資している銀行団の負担は一層重くなる。「他行に比べて日航向け債権の引当てが進んでいない」(市場関係者)とされるみずほの場合、10年3月期に数十~数百億円規模の損失計上を迫られる可能性も否定できない。
半面、日航が自主再建を果たせなかったのは、つなぎ融資や増資による延命策を受けながら、抜本的なリストラに踏み切れなかったためだ。再建を主導できなかったメガバンクの責任も重く、「政権交代を機にこれまでの手法を一新し、利害関係者に痛みを感じてもらうのは仕方がない」(支援機構の関係者)との説明も説得力がある。