女優の小雪さんがハイボールの作り方を教えてくれる――そんな動画が投稿サイト「ユーチューブ」にアップされ、6カ月で120万回以上も再生されるという超人気ぶりだ。実はこれ、サントリーが公式サイトに掲載したウイスキー「角瓶」の動画で、小雪さんが着物姿で登場する第2弾もお目見えした。
「角瓶」のテレビCMは、小雪さんがお笑いコンビ「おぎやはぎ」が演じる「お客」にハイボールを作ってあげるという設定だ。一方、動画では小雪さんがハイボールの作り方を実演し、1対1で教えてくれているかのように仕上がっている。
着物姿の小雪さんが教えてくれる第2弾も登場
小雪さんはグラスいっぱいに氷を入れて、
「ウイスキー1に対して、ソーダは3。
でも濃さはお好みで」
と、慣れた手つきでハイボールをつくっていく。
「最後にマドラーを縦に1回。
混ぜすぎてはダメ、炭酸が抜けてしまうから」
こう艶っぽく語りかける。
投稿サイト「ユーチューブ」に2009年7月にアップされると話題になり、2010年1月の時点で120万回以上も再生されている。サントリーの広報担当者は、
「ある程度の手応えは感じていましたが、予想を超える反響がありました」
と驚いている。
09年末には着物姿の小雪さんがハイボールの作り方を教えてくれる第2弾も登場した。
販売にも一役買っている。ウイスキーになじみのなかった20~30歳代を取り込んで、09年の「角瓶」の売上げは対前年131%と大幅に伸びた。2010年は前年比119%の270万ケース(1ケースは700ミリリットル×12本)を売る計画だ。
より身近に感じることができて、共感を呼んだ
こうした動画は「バイラルムービー」と呼ばれている。バイラルは「ウイルス」の意味で、口コミで広がっていく手法をバイラルマーケティングという。
バイラルマーケティングの先駆者で、TBWA HAKUHODOのシニアクリエイティブディレクター、藤崎実さんは、
「おもしろいもの、楽しいものがあったらネットで流す『共有化』の時代において、バイラルムービーはとても有効な手段だと思います。作り手の側から言っても、テレビCMは秒数などの制限があるので形式的なものになりがちですが、動画は自由に表現でき、消費者の深い部分に訴えられます」
と話している。
またテレビと違って、パソコンは1人で見ることが多い。その点からもサントリー「角瓶」のムービーは小雪さんをより身近に感じることができて、共感を呼んだのではないか、と藤崎さんはみている。
口コミマーケティングの業界団体「WOMマーケティング協議会」で理事を務める細川一成さんは、
「情報を一方通行で流すテレビCMよりも、消費者はバイラルムービーのほうが自分も関わっているという意識が生まれるため、商品の購買につながりやすいと思います」
といっている。
バイラルムービーにもいろいろなタイプがあるようだ。
俳優の佐藤健さんと佐々木希さんがコミカルなダンスを踊るCMで話題になったロッテのガム「フィッツ」では、オリジナルのダンス動画を「ユーチューブ」に投稿し、グランプリになったら100万円の賞金がもらえるというキャンペーンを09年9~11月に行った。