より身近に感じることができて、共感を呼んだ
こうした動画は「バイラルムービー」と呼ばれている。バイラルは「ウイルス」の意味で、口コミで広がっていく手法をバイラルマーケティングという。
バイラルマーケティングの先駆者で、TBWA HAKUHODOのシニアクリエイティブディレクター、藤崎実さんは、
「おもしろいもの、楽しいものがあったらネットで流す『共有化』の時代において、バイラルムービーはとても有効な手段だと思います。作り手の側から言っても、テレビCMは秒数などの制限があるので形式的なものになりがちですが、動画は自由に表現でき、消費者の深い部分に訴えられます」
と話している。
またテレビと違って、パソコンは1人で見ることが多い。その点からもサントリー「角瓶」のムービーは小雪さんをより身近に感じることができて、共感を呼んだのではないか、と藤崎さんはみている。
口コミマーケティングの業界団体「WOMマーケティング協議会」で理事を務める細川一成さんは、
「情報を一方通行で流すテレビCMよりも、消費者はバイラルムービーのほうが自分も関わっているという意識が生まれるため、商品の購買につながりやすいと思います」
といっている。
バイラルムービーにもいろいろなタイプがあるようだ。
俳優の佐藤健さんと佐々木希さんがコミカルなダンスを踊るCMで話題になったロッテのガム「フィッツ」では、オリジナルのダンス動画を「ユーチューブ」に投稿し、グランプリになったら100万円の賞金がもらえるというキャンペーンを09年9~11月に行った。