不況のあおりで女性誌が軒並み部数を落とすなか、宝島社「スウィート(sweet)」最新号は100万部超を発行する。100万部超の女性ファッション誌は近年例がない。「出版社は企業で、雑誌は商品」と割り切り、マーケティングに力を入れる同社の戦略が成功しているようだ。
出版社は企業、雑誌は商品
「スウィート」は1999年3月に創刊し、発行部数が2007年7月に20万部、08年1月に40万部、08年3月に46万部、09年4月に60万部、09年9月に70万部と伸び続けている。日経MJ の2009年ヒット商品番付にも「スウィート」が選ばれた。
2010年1月12日に発売する「スウィート」2月号は105万6320部発行。同社によると、ここ数年で100万部を超えた女性ファッション誌はなく、不況下では「異例」のことだ。
コンセプトは「28歳、一生『女の子』宣言!」で、「何歳になっても女の子でいよう」「自分の好きな格好をして生きていこう」というメッセージが込められている。発売当時、25~30歳向けの女性誌には通勤時の着こなしや男性目線を意識したものが多いなかで、「スウィート」は「カワイイものが好き!」という女の子にうけた。10周年を迎えた今も方向性を変えず、「ぶれない誌面づくり」を心がけている。
その姿勢はこんなところにも表れている。
「出版社は企業で、雑誌は商品」という意識を持ち、マーケティングに力を入れている。また、編集部員は日頃からスタイリストやブランドのディレクター、プレスなどのファッション関係者と接し、「女の子同士の感覚」を持つことで、読者の共感を得る誌面を作ることができる、という。
毎号ついている付録も販売に一役買っている。ちなみに2010年2月号の付録は、若い女性に人気のブランド「シェル(Cher)」のビッグトートとパスケースだ。
「スウィート」は女性誌ダントツトップ
「スウィート」が売れまくる一方で、他の女性誌は苦戦している。
日本雑誌協会が公表した09年7~9月の1号あたりの平均印刷部数は、20~24歳を対象にした女性ヤング誌の部門では「ViVi」(講談社)が42万5000部、「JJ」(光文社)が18万6300部、「CanCam」(小学館)が35万部、「PINKY」(集英社)が19万3334部、「mina」(主婦の友社)が24万7334部、「JELLY」(ぶんか社)が30万5440部、「non・no」(集英社)が33万1667部だった。
25~34歳を対象にした女性ヤングアダルト誌では、「with」(講談社)と「MORE」(集英社)がいずれも45万3334部、「AneCan」(小学館)が25万部、「Oggi」(同)が23万3000部、「SPUR」(集英社)が11万6667部、「ELLE JAPON」(アシェット婦人画報社)が9万2834部、「madame FIGARO japon」(阪急コミュニケーションズ)が7万部、「anan」(マガジンハウス)が27万5962部。
ちなみに「スウィート」はヤングアダルト誌で、09年9月の時点で70万部だった。