中国の若者「最も好きな国は日本」 新聞の世論調査で意外な結果

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   靖国神社参拝問題をきっかけに、つい数年前まで高まっていた反日感情が、急速にクールダウンしつつあるようだ。中国の新聞が行った世論調査で「最も好きな国」を聞いたところ、日本が5位にランクイン。15~20歳に限って見ると、何と1位になっている。ただ、この記事が掲載されたウェブサイトのコメント欄には、相変わらず日本を非難するものも多い。世代によって「対日観」が大きく異なっていることが浮き彫りになった形だ。

   世論調査は「中国人が世界を見る」というタイトルで、中国人の世界観を調べることを目的としている。全国紙「環球時報」が調査会社に委託して09年12月11日から23日にかけて行ったもので、北京、上海、広州、武漢、重慶の5都市在住の15~64歳の男女、計1350人に電話で聞いた。

15~20歳では「最も好きな国」トップが日本

   質問項目の多くが国際関係に割かれ、「最も行きたい国」を選ばせる質問項目では、米国(20.6%)、フランス(9.5%)、日本(7.4%)、オーストラリア(5.5%)と、日本は4位にランクイン。

   「最も好きな国」を選ばせる質問項目でも、米国(13.1%)、フランス(8.1%)、オーストラリア(6.7%)、シンガポール(6.5%)に続いて、5.1%が「日本」と回答。4位にランクインしている。

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   ところが、この「最も好きな国」、15~20歳に限ってみると、実に12.3%が日本を選択。フランス(11.8%)、米国(11.8%)、韓国(10.9%)、英国(7.7%)、カナダ(5.0%)を抑えて堂々の1位だ。

   一方、15~20歳以外の世代で「日本が最も好きな国」と答えた割合を見ていくと、高い順に51~64歳(5.0%)、21~30歳(4.3%)、41~50歳(3.9%)、31~40歳(2.5%)。

   アニメやファッションとはじめとする日本文化の流行が若年層の好感度を押し上げたと見られる一方、最も好感度が低かった31~40歳は、90年代初頭にいわゆる「愛国教育」が強化された時期に10~20代を過ごした世代でもある。

   このように、日本に対する好感度は決して低くない一方、日本が重視されなくなっている実情も浮き彫りになっている。

「もしこれが本当ならば、中国の教育は失敗だ」

   「最も重要な2国間関係」を聞いた質問で、「日中関係」を挙げた人は、06年の調査では48.7%に達していたのに対して、今回の調査では21.4%と半減しているのだ。

   この結果を紹介する環球時報の記事では、復旦大学国際関係・公共事務学院の呉心伯副院長が、この背景について

「中国の世論からすると、日中関係が中国の国益に対して与える影響は、明らかに小さくなっている」

と解説する一方、中国国際関係研究院米国研究所の達巍副所長は、日中関係の重要度が低下した理由について

「日本の右よりの政権が終わり、日中間にもめ事が起こる時期も終わった。悪いニュースも減り、処理すべきことが目立たなくったので、重視する度合いも低下した」

と分析している。

   世論調査では、総じて日本に対する印象は悪くない様子だが、ネット上では、やはり反日感情がうずまいている様子だ。例えば、この調査結果が掲載されたウェブサイトのコメント欄では、

「この調査は権威がなくて信用できない」
「(調査に回答した人は)判断力があるのか」
「もしこれが本当ならば、中国の教育は失敗だ」

といった、調査結果に対してネガティブなコメントが相次いでいる。

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