菅直人新財務相 「経済オンチ」なのか

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   新年早々の辞任劇で驚かせた藤井裕久前財務相に代わって、菅直人副総理兼国家戦略担当相が新しい財務大臣に就任した。鳩山由紀夫首相は「最善の結論」と胸を張るが、市民運動家出身で閣僚経験も厚生相だけという菅氏には「経済に疎い」との風評がつきまとう。はたして大丈夫なのか。

「国会審議を乗り切る戦闘能力は相当高い」

   これまで決断力不足を指摘されてきた鳩山首相だったが、財務相の後任人事は早かった。2010年1月5日に辞意を伝えられてすぐに動き、わずか1日で決めた。菅氏を選んだ理由について、鳩山首相は

「予算案を決めていくにあたって、(藤井前財務相の)側面でしっかりと支えた第一人者が菅副総理だった。予算に関わった方だから、なんら支障はないということで十分、国会を乗り切れる」

と述べ、1月18日から始まる予定の通常国会での論戦に自信を見せた。民主党が政権をとって初めてとなる予算審議では相当な重圧がかかると予想されるが、党代表としての経験も持つ菅氏ならば重責もこなせるとの判断だ。時事通信の田崎史郎解説委員長もフジテレビの情報番組『とくダネ!』で、

「中身はともあれ、(菅氏は)弁論術のほうでは非常に優れているんですよ。『ああ言えば、こう言う』という弁論術は優れているから、そういう意味では国会答弁はうまく乗り切るんじゃないかと思います」

と解説。民主党の関係者も

「菅さんは党内での人望という点では疑問符がつきますが、国会審議を乗り切る戦闘能力は相当高い。党内を見渡しても、ほかに選択肢がなかったといえますね」

と評価している。

「マクロ経済をマイクロ経済と読み間違えないように」

   だが、市民運動家から叩き上げで大臣にまでなった菅氏に対しては「経済が分かっていない」という声も多い。週刊文春は09年12月10日号で、唐突なデフレ宣言をした菅氏を「経済オンチ」と酷評。自民党の小池百合子元防衛相も、菅氏の財務相就任が決まったあとにツイッターで、

「新財務大臣。マクロ経済をマイクロ経済と読み間違えないよう、お願いします!」

と皮肉を込めたメッセージを送った。攻める側の大島理森・自民党幹事長は1月7日の会見で、記者から「菅大臣に代わって、藤井大臣よりも攻めやすいと感じているか」と問われたとき、思わず笑いながら、

「どちらでも我々は建設的に攻めていきますよ」

と余裕の表情を浮かべた。

   もっとも菅氏本人は財務相としての職務をこなすことに自信を持っているようだ。09年11月から12月にかけては、自らのホームページに経済政策に関するコラムを立て続けに掲載。竹中平蔵元経済財政政策担当相と議論したあとの12月20日のコラムで

「(竹中氏に対して)新しい需要を生み出すことが成長の柱になると反論。その後多くの有識者の話を聞いたが、多くは需要拡大政策で私の考えに近い人が多かった」

と綴っている。さらに「脱官僚」の急先鋒だった菅氏だけに、霞が関改革にも強い意欲を見せている。1月7日には記者団に向かって

「大臣というのはその役所の代表ではなく、国民が役所に送り込んだ国民の代表。そこだけはしっかりと頭に入れて仕事はしたい。(財務省は)霞が関のなかでも象徴的な役所ですから、これをより公開された形で変えられれば、霞が関全体を変えていく一つのモデルになるのではないか」

と述べ、官僚に対して強い姿勢で臨むことを示した。1996年の厚生相のときは薬害エイズ問題で官僚と戦い、一躍ヒーローになった菅氏だが、「役所のなかの役所」といわれる財務省でも同じ手法が通じるだろうか。

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