「マクロ経済をマイクロ経済と読み間違えないように」
だが、市民運動家から叩き上げで大臣にまでなった菅氏に対しては「経済が分かっていない」という声も多い。週刊文春は09年12月10日号で、唐突なデフレ宣言をした菅氏を「経済オンチ」と酷評。自民党の小池百合子元防衛相も、菅氏の財務相就任が決まったあとにツイッターで、
「新財務大臣。マクロ経済をマイクロ経済と読み間違えないよう、お願いします!」
と皮肉を込めたメッセージを送った。攻める側の大島理森・自民党幹事長は1月7日の会見で、記者から「菅大臣に代わって、藤井大臣よりも攻めやすいと感じているか」と問われたとき、思わず笑いながら、
「どちらでも我々は建設的に攻めていきますよ」
と余裕の表情を浮かべた。
もっとも菅氏本人は財務相としての職務をこなすことに自信を持っているようだ。09年11月から12月にかけては、自らのホームページに経済政策に関するコラムを立て続けに掲載。竹中平蔵元経済財政政策担当相と議論したあとの12月20日のコラムで
「(竹中氏に対して)新しい需要を生み出すことが成長の柱になると反論。その後多くの有識者の話を聞いたが、多くは需要拡大政策で私の考えに近い人が多かった」
と綴っている。さらに「脱官僚」の急先鋒だった菅氏だけに、霞が関改革にも強い意欲を見せている。1月7日には記者団に向かって
「大臣というのはその役所の代表ではなく、国民が役所に送り込んだ国民の代表。そこだけはしっかりと頭に入れて仕事はしたい。(財務省は)霞が関のなかでも象徴的な役所ですから、これをより公開された形で変えられれば、霞が関全体を変えていく一つのモデルになるのではないか」
と述べ、官僚に対して強い姿勢で臨むことを示した。1996年の厚生相のときは薬害エイズ問題で官僚と戦い、一躍ヒーローになった菅氏だが、「役所のなかの役所」といわれる財務省でも同じ手法が通じるだろうか。