「座敷わらし」が出る宿として知られる岩手県の金田一温泉緑風荘が全焼して3カ月たったが、各地から励ましの手紙や電話が寄せられている。「ぜひ復活を」という声も強く、そのための支援金集めも始まり、経営者も「再建」を決意した。
岩手県二戸市の金田一温泉緑風荘は300年以上の歴史があり、幸運をもたらすという「座敷わらし」が出るので有名だ。よく現れる「槐(えんじゅ)の間」という部屋は常に予約で埋まっていた。ここの座敷わらしは南北朝時代に6歳で亡くなった亀麿(かめまろ)だと言われている。宿を営む五日市家の先祖にあたり、守り神として大切にされてきた。
「2~3年ぐらいで再建したいです」
「座敷わらし」をひと目、見たいと、全国から宿泊客が訪れていたが、緑風荘は2009年10月4日に火事で全焼した。宿泊客21人、従業員9人が全員無事だったのは不幸中の幸いだったとはいえ、代々、大切にしてきた宿を失い、自宅もなくした代表の五日市洋さんの落胆ぶりは相当なものだった。
そんな五日市さんに、全国のファンから1000通以上の励ましの手紙が届いている。また泊まりに行きたいとか、一度も泊まったことがない人は再建したら行ってみたいというものが多い。宿の電話は通じないので、観光協会を通して電話してきたり、五日市さんのところに尋ねてきたりする人もいるそうだ。
奇跡的に火災を免れ、地元では亀麿くんが逃げ込んだと言われている亀麿神社に、年始にたくさんの人が参拝に訪れた。沖縄から来た人もいた。
五日市さんは、
「お客さんに犠牲者が出たら宿をたたむことを考えましたが、たくさんの応援をいただいたこともあり、宿を建て直すしかないと決意しました。また一からやっていこうと思っています。まだ片付けも終わっていなくて先が見えないですが、2~3年ぐらいで再建したいです」
と話している。