「軍師よりも社外重役の言うことを聞く首相」
もっとも強く言われているのは、民主党の小沢一郎幹事長との確執だ。藤井財務相は1993年に新生党結成に参加するなど、政治活動の大半を小沢幹事長とともに過ごしてきたが、最近は関係がギクシャクしていたと言われている。特に予算編成の大詰めを迎えた12月中旬の暫定税率をめぐるドタバタが、今回の引き金になったとの見方が強い。
財源確保を重視する藤井財務相はもともと暫定税率維持派だったが、マニフェストにこだわる鳩山首相の意向で「税率低下」の方向で調整に動いた。ところが、税率維持を提案した小沢幹事長の反発で、結局、鳩山首相は自らの主張を撤回。藤井財務相はハシゴを外された形になったために、嫌気がさしてしまったのではないかというわけだ。
このような事情について、TBSの情報番組『朝ズバッ!』に出演した片山善博・前鳥取県知事は
「藤井さんは(鳩山首相にとって)軍師的な存在なんですけど、その軍師の言うことよりも、社外重役(=小沢幹事長)の言うことを聞かれるので、キレたわけですよね」
と解説してみせた。藤井財務相は09年の総選挙前に政界引退を表明していたのに、鳩山首相の強い要請で出馬し、内閣入りしたという経緯がある。藤井財務相にしてみれば、三顧の礼をもって迎えたはずなのにこの扱いはなんだ、という気持ちだったのかもしれない。
いずれにせよ、民主党きっての財政通とされる藤井財務相が政権を離れることの痛手が非常に大きいのは確かだ。