薄型テレビには液晶パネルとプラズマパネルがあるが、パナソニックは世界で最大規模の生産能力をもつ最新鋭のプラズマパネル工場を兵庫県尼崎市の大阪湾岸に完成させ、2010年1月から本格生産を始める。パナソニックは尼崎市の新工場を拠点に、映像が立体的に見える3次元(3D)テレビを他社に先駆け2010年初頭に商品化する予定で、液晶パネルで3Dテレビを投入予定のソニーやシャープに対抗する。液晶VSプラズマの薄型テレビの戦争は2010年に激化しそうだ。
プラズマパネルは動きの速い動画や大画像を楽しむには、液晶よりも有利とされる。しかし、液晶パネルの技術革新が進んだ結果、現状では画質にほとんど差がなくなりつつあるようだ。このためか、世界の薄型テレビに占める液晶パネルの比率は約9割と圧倒的で、プラズマパネルは約1割に過ぎない。
米ハリウッドの映画製作会社と3Dソフト制作で提携
世界の薄型テレビ市場ではシェア1割のプラズマテレビだが、北米や中国の富裕層などには、大画面で高画質のプラズマは高級機種として需要が高まっているという。このプラズマパネル市場で、パナソニックは世界シェアが約48%で首位に立つ。2位のサムスン(約30%)、3位のLG(約21%)の韓国勢を抑え、この分野では業界をリードするトップブランドだ。かつては日立製作所なども独自にプラズマパネルを生産していたが、価格競争などで撤退した経緯がある。
寡占化が進むプラズマパネル市場に対して、価格低下が進む液晶パネル市場は競争が激しい。首位はサムスンの約27%で、2位以下は韓国のLG(約24%)、台湾の友達光電(約16%)、同じく台湾の奇美電子(約15%)と続き、日本勢はシャープが約6%で5位。パナソニックは約2%で7位にとどまる。
プラズマパネル工場として世界最大となるパナソニックの新工場は、同社としては国内5カ所目となる。パナソニックの大坪文雄社長は「3Dテレビは当社が一番乗りになる」との意気込みを09年10月末の決算発表の会見で示した。パナソニックは米ハリウッドの映画製作会社と3Dソフトの制作で提携するなど、ハードソフト両面で、プラズマテレビを核に3Dを世界市場に浸透させる戦略だ。