テレビからネットへ移行するタレントが2010年に続出する――。ビートたけしさんが、東スポでこう予言して、話題になっている。その根拠として、テレビとネットは、ギャラが同じだからというのだ。果たして――。
2010年は、テレビや新聞のターニングポイントだ、と言われる。ビートたけしさんは、東京スポーツの創刊50周年を記念して、同紙の元旦付紙面で祝賀トークを展開。東スポは、見出しや記事がいいとして、「ネットの裏サイトより強い」と太鼓判を押した。ところが、テレビについては辛辣だった。
「テレビは予算も仕事もない」
今後1年の見通しについて、「とにかくテレビは予算も仕事もない」。その結果、芸能界ではリストラの嵐がさらにひどくなるとして、テレビを見放すタレントが相次ぐと予言した。
「テレビからインターネットや携帯サイトの方に移行するタレントが続出するだろう」と。
その理由として、意外なことを明かしたのだ。
「テレビもネットも基本的にギャラは同じだっていうからさ」
たけしさんが言う「ネット」とは、具体的に何を指すのかは触れられていない。が、タレントが出演するとなると、パソコンや携帯電話の動画サイトということになるのだろう。
テレビと同じギャラが払えるかは別として、確かに、業績を上げている動画サイトはいくつかある。
その一つが、第2日本テレビだ。2005年10月にサービスを始め、ダウンタウン松本人志さんのコント出演などを手がけて、09年1月に初めて単月黒字化を達成した。赤字続きとされる動画サイトでは、異例のことだ。さらに、10月にも達成し、運営に弾みを付けている。有料配信を止め、地上波の日テレと双方に配信するクロスメディア戦略で広告を増やしたという。
BeeTVの会員は目標上回るペース
携帯の動画サイトでは、エイベックスとNTTドコモが組んだ「BeeTV」が、順調に有料配信の会員数を伸ばしている。
2009年5月1日にサービスを始め、ドコモ広報部によると、11月30日現在で会員数は81万人に達している。2010年3月までの目標が77万人だったため、かなり上回るペースで増えているという。バラエティやドラマ、トークショーなど地上波テレビとほぼ同じメニューだが、特色があると強調する。
「ケータイに特化したソフトが受け入れられているようです。ワンセグより大きく見やすい、長くなくコマ切れといった長所があります。定時でなく、空いている時間に見られるのも好評ですね」
BeeTVのドラマ「40女と90日間で結婚する方法」は、フジテレビに09年12月30日逆配信されて話題を呼んだ。
動画サイトの生放送では、「ニコニコ動画」が7月30日、ダウンタウン浜田雅功さんを司会に招き、テレビでできない超過激トークでブレークした。この人気で、浜田さんは12月18日も2回目の出演を果たしている。
とはいえ、ネットがテレビとギャラが同じというのは、言い過ぎのようだ。
ある大手芸能事務所の役員は、こう明かす。
「ネットは相当安いですよ。へたをすれば、半額以下、10分の1というケースもあります。テレビと同じギャラというのは、聞いたことがないですね」
ただ、ギャラがテレビ出演分に組み込まれていることもあるという。ビートたけしさんが同じギャラというのは、こういったケースを指すのかもしれない。
「テレビに出演やギャラを削られ、タレントはネットでもやらなければならなくなりつつあります。まだ、動画サイトで採算がとれるのは難しいですが、相応のギャラを払えるのはあと3、4年先のことになるでしょう」