なお残る法的整理のリスク
しかし、日航株の下落を招いたのも政府だ。09年11月には前原国交相が国会答弁で法的整理を示唆する発言をし、12月の2010年度予算案には日航向け融資の政府保証枠を計上しなかった。
9月に180円近くあった日航株は、この時すでに100円を割り込むところに追い込まれていたし、1000億円の融資枠のうちの550億円を使っていた。追加支援策が必要なことがわかっていたにもかかわらず、政府の煮え切らない態度が株下落を招いたようだ。
法的整理の観測が遠のいたとはいえ値動きが大きく、しばらくは投機的な売買が続きそうで、日航株は乱高下することが必至だ。
法的整理となれば、銀行団も債権放棄などの損失が膨らむので、そう簡単には同意しないのは確実。一方で、大幅債務カットによるメリットがあるほか、公的資金を投入するうえで透明性が高まるメリットが見込める。ある中堅証券のアナリストは「法的整理の可能性がなくなったわけではない」と話している。