民主党、財務官僚に完全屈服は間違いない
――天下りを含め、待遇面をしっかりしないと優秀な人材が集まらない、という人もいます。
高橋 そこそこのレベルの人で十分なのではないでしょうか。「いい待遇」なんかを気にする人材ではなく、本当に「国民のために働きたい」という人たちを集めればいいと思います。世界の潮流を見ても、政府の重要性は落ちてきています。以前は、政府は全知全能で大変重要だと考えられた時期もありました。しかし、「政府の失敗」という言葉もでてきて、政府も間違うことがあるし、むしろ市場に任すべきで政府は何もしない方がいい、という考え方が出てきました。こうしたことは市民感覚でも浸透しているのではないでしょうか。
――財務官僚は「お婿さん候補」としてモテモテで、秘書課長の机には見合いを望む女性の写真がズラリと揃っているそうですね。
高橋 はい、それは本当です。私自身は学生結婚だったので無縁でしたが、周りには紹介してもらった者が結構いましたね。今はどうなのか知りませんが。
――最後に、民主党政権になって、官僚と政治家の距離は変わってくるのでしょうか。
高橋 かつて、首相のときの小泉さんは、距離感の取り方が抜群にうまかったですね。大臣の竹中さんと秘書官の飯島さん・(財務省出身の)丹呉さんを、A面B面のように使って、官僚と距離を置いたりうまく利用したりしていました。独特の嗅覚があったのでしょう。
安倍さんの内閣のときは、理念通りに官僚と距離を置いて公務員改革を進め、正しい方向でしたが、それで官僚組織に足をすくわれてしまいました。以降の自民内閣は、再度官僚に取り込まれました。
そして今の民主党ですが、安倍さんのときの状況を見ていたんでしょう、官僚との距離感はぐっと縮まっていて、もはや「密着」状態です。
――日本郵政社長に、大物財務省OBの斎藤次郎さんをつけた人事がありましたね。やはり彼の影響力は大きいのですか。
高橋 財務省の誰に質問するかで答えは異なるでしょう。一応、今では省と斎藤さんとは「距離がある」ということになっていますが、かつての部下や姻族もいるし、それで「距離がある」という感覚は、普通ではない気がします。いずれにせよ、「事業仕分け」の内実を見ても、民主党は財務官僚に完全屈服したのは間違いありません。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。現在、J-CASTニュースで「高橋洋一の民主党ウォッチ」を連載中。