「経済政策」語る日経と「愛国心」訴える産経
一方、日経新聞や産経新聞、毎日新聞は日米関係に少し触れながらも、他のテーマに字数を割き、それぞれの特色を出した社説を掲載した。
日経は「未来への責任 繁栄と平和と地球環境を子や孫にも」と見出しを打って、財政や社会保障、環境問題で「将来世代」にツケを回すなと主張した。特に、社会保障面での世代間格差に注目。「(団塊世代の)負担をないがしろにして財政支出を続け、その帳尻を国債発行で埋めてきたツケが、今の若い世代や未来の世代にずしりとのしかかる」と危惧し、増税や年金給付削減などの財政改革の必要性を訴えた。
経済紙らしく、現在のデフレ基調からの脱却策も提言。財政・金融面から需要喚起とともに、「長期の視点から経済体質を変える必要がある」と説いた。具体的には、政府の規制で成長が妨げられている分野として、医療や電力、農業、介護などを指摘。「競争を促進すれば、実は潜在的な成長分野である」と、規制緩和による産業振興を求めた。
これに対して、「愛国心」の重要性を訴えたのが産経新聞だ。通常の社説の代わりに、「『国思う心』が難局を動かす」と題した中静敬一郎・論説委員長のコラムを一面に掲載した。飛鳥時代の白村江の戦い(663年)における故事を引き合いに出しながら、いまの国家指導部や国民には「国を思う力」が欠けていると嘆いている。
昨夏の総選挙で民主党政権を誕生させた国民に対しては、「優しいスローガンやばらまきを歓迎」して、「危機を呼び込んだ」と批判。鳩山政権にも「他者依存や甘えの方向に人心を駆り立てていないか」と疑問を呈し、「『友愛』より『国思う心』で難局を乗り越えてほしい」と注文をつけた。
一方、毎日新聞はどこかのんびりムードだ。今年は平城遷都1300年ということで、奈良・平城京に都を建設した710年のころの日本に注目。内憂外患の大きな危機を克服して、国を再建したという歴史を紹介した。
また当時の奈良は、各国から僧侶らが訪れる国際的な都市で「発信力」が高かったとして、現在の日本でも「発信力を高めることが日本の再建にもつながる」と提言した。ただ、現在の日本が抱える課題についてはほとんど触れておらず、新年のはじまりらしく、ほのぼのとした内容だった。