国税の幹部ポストにも財務省キャリアが就く
――力の源泉は、主計局だけでなく、国税(庁)を外局にもっている、ということも影響しているのではないですか。企業にしても政治家にしても、睨まれて調べられると、どこかしら不都合な所は出てくるものです。こうした力を意図的に使われるとたまらない、恐ろしい、という意識が浸透している気がします。
高橋 確かにそうですね。国家権力という意味で、警察、検察、そして国税というのは大きな柱です。戦力・自衛力というのは置いておくとして。その国税に財務省が関わっているのはすごいことです。国税にも専門のキャリアがいるのですが、幹部ポストには財務省キャリアが就きます。歴代すべて財務省キャリアというポストもあります。脈々とパワーを培ってきているのです。
――財務官僚は、若くして税務署長になりますね。そこで政治家と付き合い、いろんな問題の手の打ち方やさじ加減を身につけ、それが一層力を持つことにつながるのではないですか。
高橋 今はその制度がなくなったのですが、かつてキャリアは20代後半で税務署長を経験することになっていて、私も四国で署長をやりました。50人から100人の部下を持ち、9割は年上、幹部クラスになると父親のような人たちです。「自分は偉いんだ」と勘違いする若造もそれは出てくるでしょう。
政治家からは、陳情を受けるからとにかく横にいてくれ、と頼まれたこともありました。こちらは何のことかよく分からなかったのですが、いてくれるだけでいいから、というので、「はあ、はあ」と聞いていました。税金の滞納通知を送られた政治家が私の所へ飛んできて、即金で納税したこともありました。滞納通知は自動的に当人へ葉書がいくシステムで、私は全く知らない話だったのですが、政治家にしてみれば、署長に外で滞納についてしゃべられたら大変だ、と思ったのでしょう。
(<中>に続く)
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。現在、J-CASTニュースで「高橋洋一の民主党ウォッチ」を連載中。