財務官僚パワーの源泉 予算編成権と国税の睨み(元財務官僚 高橋洋一さんにきく<上>)

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   「脱官僚」のキーワードは、民主連立政権が2009年に誕生する大きな原動力になった。しかし民主政権は、早くも官僚、なかでも財務官僚に屈服したとの見方も出ている。「官庁中の官庁」と称される旧大蔵、現財務省の力の源泉や、そこに勤務する人たちの実態はどのようなものなのか。元財務官僚で安倍政権の内閣参事官も務めた、政策工房会長、高橋洋一さん(54)に3回シリーズで話を聞いた。

「我ら富士山、ほか並びの山」

「財務省では、他省庁より1コ下の役職ランクで対応しています」と話す高橋洋一さん。
「財務省では、他省庁より1コ下の役職ランクで対応しています」と話す高橋洋一さん。

――財務省は「官庁中の官庁」と言われています。内部の人はどう受け止めていますか。

高橋   内部でもそう言っています。「我ら富士山、ほか並びの山」という言葉もあります。

――そうした言葉が生まれるのは、持っているパワーゆえなのでしょうか。

高橋   国家財政を扱っている、という仕事から来る自負心でしょう。予算の「査定」、財政法上「必要な調整」というのですが、ここに力の源泉があります。

――世界の財務当局と比べ、日本の財務省は突出した力を持っているのでしょうか。

高橋   いえ、各国ともほとんど似たような強い力を持っています。他国では、法律上財務当局が他省庁より格が1つ上、と位置付けられているケースもあり、財務当局大臣は、イコール副総理格という国もあります。日本では他省庁と平等という建前です。そういう意味で、国際的に見れば日本の財務省の力は弱いともいえます。

――予算を担当する強みとは、どのようなものですか。

高橋   予算とは、国家の活動全てを数字で書き表しているものです。どんな活動にも金がかかります。国家全体の運営をやっている、そんな意識から先ほどの「我ら富士山~」というような言葉が生まれて来たのでしょう。断っておきますが、私自身は理財局が長く、主計局勤務はありません。

――民主政権になって状況は変わりましたが、以前の予算陳情は、財務省の力を見せつけられる行事でした。

高橋   今の状況は知りませんが、以前は確かにそうでした。担当者の机には名刺の山ができていました。まずは要求官庁(他省庁)の所へ陳情に行きますが、これは、という案件はやはり財務省の担当者の所に足を運んで、という流れになっていたようです。ま、財務省の担当者は話なんか聞いてないですけどね。山のように要求が来る訳で、とても全部頭に入れることなんてできません。もっとも陳情する方も、一生懸命やってるぞ、というアリバイ作りだったというケースもありますが。

――主計局の中でも主計官に力がある、という印象があります。

高橋   主計局は局長、次長がいて、主計官は課長級というイメージです。その下に課長補佐級の主査がいて、詳しいことは主査の方が知っているという場合もよくあります。

――主計局が強いと言われる背景には、刃向かうとしっぺ返しをくらう、というようなこともあるからでしょうか。

高橋   それは主計局の担当者次第ですね。人によります。感情を交えない人もいたし、遺恨をもってあくまでダメ、要求は呑まない、とやる人もいたようですね。
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