役所が記者会見を主催すべきなのか?
A どの役所も外務省のように自ら会見を主催すべきだという意見だが、これには異論もある。記者クラブ側は「役所が主催すると、会見を恣意的にコントロールされる恐れがある」と反論している。
B だが実際に会見に参加してみると、クラブ主催だからといって権力側と緊張感のあるやり取りができているかどうか、疑問も感じる。
C かつて新聞記者として記者クラブに所属した経験からすると、記者会見では政治家への配慮や他社との相互牽制が働くことが多い。重要な質問はあえて記者会見では聞かずに夜回りのときにぶつけようという思惑もあり、質問を自己規制してしまうことがある。
B ある省庁の記者クラブの記者も「クラブの内部にいるとどうしても他社の目が気になって、空気を読んで質問するようになってしまう」と話している。
A 逆に役所や政治家が主催しているからといって、厳しい質問が出ないというわけでもない。たとえば民主党の小沢幹事長の会見は党主催だが、記者からは天皇特例会見や政治資金問題などについて、小沢氏が嫌がる質問がよく出ているよ。
C 重要なのは、会見の主催が役所かクラブかということではなく、そこに参加する記者の姿勢ではないか。
B 実は、記者クラブの幹事をつとめる記者からも「役所に会見を主催してもらいたい」という声が出ている。記者の本来の仕事からすれば、会見の進行役をしたり、参加の可否を判断したりするのは不慣れな作業なので、負担感が大きいようだ。
A むしろ役所のほうが、記者登録などの事務作業やルール作りに慣れているし専門のスタッフもいるので、記者クラブが無理して「会見のオープン化」を引き受けなくてもよいのではないか、という考え方もある。
C いずれにせよ、「開かれた会見運営」は必然の流れだろう。ただ、セキュリティや誰を参加させるのかという参加基準の解決には少々時間はかかりそうだ。