「個人的にはオープン化に賛成」という記者たち
C 今回の一連の動きを通して「記者クラブ問題」が大きくクローズアップされるようになったという側面もある。特にネットでは反響が非常に大きかった。
A ネットだけでなく新聞各紙も、記者クラブや記者会見オープン化の動きについて、特集を組んで紹介した。産経新聞は10月30日付けの紙面で「記者クラブ制度は必要だと思うか」というアンケートの結果を紹介したが、その結果は「NO(不要)」と答えた人が78%にも達していた。産経はよくこの結果を掲載したと思う。
B だが、ほとんどの新聞は1回特集記事を書いて終わりという感じで、個々の具体的な動きをしっかり伝えているとは言いがたい。
A テレビに至っては、完全に「見て見ぬふり」を決め込んでいる。大臣の記者会見で記者クラブに関する発言が出ても、その部分は決して放送されることはない。
C その意味では、会見がオープン化された結果、ネット中継やアーカイブ動画で会見内容がそのまま見られるようになったのは画期的だといえるね。
B 新聞やテレビにしてみれば、記者会見のオープン化は既得権益の侵食につながるので、消極的な報道になってしまうのは当然ともいえる。ただ、記者クラブの記者に話を聞くと、「個人的にはオープンにしたほうがいいと思っている」という人が多い。
A 一記者として個人的にはオープン化に賛成でも、社内事情やクラブ内の他社との関係で積極的に行動するわけにもいかない、ということだね。また会社の仕事で手一杯で、記者クラブの改革のために使う時間やエネルギーはほとんどない、というのが実情だろう。
B ニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー東京支局長も「大きい新聞の記者とよく話すが、彼らも本音では今の記者クラブ制度が好きじゃないと思う。ただ、彼らは自分の会社に反対できないから、その本音をなかなか公の場で言えない」と話している。
A 会社によっても見解は分かれている。朝日新聞の9月30日付けの記事によれば、朝日新聞や日経新聞、共同通信は記者会見オープン化に賛成の立場だが、読売新聞や時事通信は消極的な姿勢をみせている。
C そうはいっても、時代の流れからすると記者クラブ主催の会見も「オープン化」は避けられないだろう。ジャーナリストの上杉隆さんなどはさらに進んで「民間の親睦団体にすぎない記者クラブが公的機関の会見の主催権をもつのはおかしい」という主張をしている。