外務省や金融庁が先行してオープン化できた理由
記者クラブ問題座談会(中)

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亀井金融相の奇策「もうひとつの会見」

C   外務省に続いて大臣会見をオープン化したのは、確か金融庁だったね。


B   金融庁の場合はなんといっても、亀井静香という突破力のある政治家が大臣だったのが大きい。亀井金融相はジャーナリストの上杉隆さんの要請もあって、就任後まもなく、会見のオープン化を記者クラブに提案した。


A   しかし記者クラブの答えは「ノー」だったね。金融庁の会見はクラブ主催なので、その同意がなければ会見をオープンにできない。普通の大臣ならここであきらめてしまうところだ。


B   ところがなんと亀井金融相は、記者クラブ向けの会見の直後に、クラブ以外の記者のための「もうひとつの会見」を開くようにした。


C   まさかの奇策だった。これには我々も「その手があったか」と驚いた。


A   クラブ向けの「第1会見」は会見室で開かれているが、「第2会見」のほうは大臣室で行われているんだよね。


B   第2会見に出席する記者は毎回20人~30人。フリーやネットのほか、雑誌や業界紙、海外紙と多様なメディアが参加していて、質問もバラエティーに富んでいる。


C   雰囲気はどんな感じなんだろう?


B   第1会見の様子は庁舎内のテレビで見ることができるが、第1と第2ではだいぶ雰囲気が違う。第1会見では亀井金融相はピリピリしていて喧嘩腰だが、第2会見はリラックスムードで冗談もよく出る。クリスマスの12月25日の会見では、ネット中継向けに「投げキッス」まで飛び出した。


A   第2会見は大臣室でソファーに座って話すから、場所の違いというのも影響しているのかもしれないね。


B   「権力側のペースで会見が進められている」という指摘もあるが、大臣の本音が出やすいというメリットもないわけではないと思う。第1会見と第2会見はどちらも金融庁のサイトで発言が公開されているので、どちらが優れているかは、実際に読んで比較してもらうといいだろう。


C   記者会見の発言録といえば、第2会見のほうは質問した記者の社名と氏名が掲載されている。


B   これはフリージャーナリストの岩上安身さんの提案によるものだ。会見する大臣は顔と名前をさらして答えているのだから、質問する記者も名前を出して責任の所在をはっきりさせるべきだ、という考え方にもとづいている。


A   第2会見のほうはニコニコ動画がネット中継しているから、その時点で名前が外に出てしまうんだけどね。


B   一応ルールでは、もしどうしても名前を知られたくない場合には、名前を隠して質問することも認められている。だが金融庁の職員によると「名前を出したくない」と言った記者はいままでに一人もいないそうだ。


C   会見録に記者の名前を出すルールは、外務省でも取り入れたそうだね。


B   ただ、記者クラブの中には、自分の名前が会見録で公開されたり、ネット中継でそのまま流れてしまうことに抵抗感があった記者もいたらしい。


C   それはなぜ?


B   個人名が出るとネットで誹謗中傷されるのではないかという漠然とした恐怖心があったようだ。同様の意見は他の記者クラブでも聞いたことがある。


C   やっぱり大手マスコミの記者はネットに不信感をもっているのかな。

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