不景気で節約志向ここにも  「食べ残し持ち帰り」が主婦に人気

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   主婦の間で、飲食店の食べ残しの持ち帰りが広がっている。残すのはもったいないし、家で食べれば食費も浮くからだ。持ち帰りに便利な折りたたみ式の容器も登場し、持ち帰りOKのレストランが増えたこともあって、堂々と「折り詰め」できるようになっている。

   アイシェアが20~40歳代のネットユーザー339人に行ったアンケートによると、飲食店で食べ切れなかった分を持ち帰ったことが「ある」と答えた人は47.2%で、女性では54.7%と半数以上にのぼる。年齢別では30歳代が多く、55.1%だった。

 

9割が持ち帰りに賛成

洗って使えて経済的な上に、見た目もオシャレなドギーバッグ
洗って使えて経済的な上に、見た目もオシャレなドギーバッグ

   調査では、「持ち帰りについてどう思うか」と聞いたところ、「もったいない」「食べ物を無駄にしたくない」などの理由から、88.8%が賛成だった。女性では91.9%と高い。調査は09年3月24~27日に行われた。

   持ち帰り用の容器も売られている。

   タッパーウエアを持参するのは恥ずかしいという人に人気なのが「ドギーバッグ」。ケーキ屋さんで使われている容器に似ていて、食べ残しが入っているようには見えない。使わない時は折りたたむことができるのも便利だ。1つおよそ300~400円で、量販店や雑貨店で売られている。プラスチック製で、洗って繰り返し使うことができる。ちなみに、「Doggy(犬)」という名前は、アメリカで食べ残しを持ち帰るのが恥ずかしくて「犬のエサにする」と言い訳したことに由来するらしい。

   ドギーバッグのメーカーが集まる「ドギーバッグ普及委員会」によると、08年秋頃から売り始め、09年12月時点で7万6000個を出荷した。小さい子どもは食べ残すことが多く、困っていた主婦から火がついた。最近は、不景気の影響で節約志向が高まり、「残すのはもったいない」「食費が浮く」という理由で幅広い層に売れている。

   食べ残しを持ち帰れる店も増えていて、12月時点で全国200店舗以上にのぼる。

   ドギーバッグ普及委員会広報担当者は、

「持ち帰りを始めたら、1人あたりの注文量が増えたという店もあります。残しても持ち帰れるので、安心して頼むようです。デザートもよく売れるようになったと聞いています。ただ、生ものなど持ち帰れないものもありますので、お客さん自身が詰めるのではなく、お店の人に一声掛けていただきたいと思います」

と話している。

千葉県は12月1日から持ち帰りを推進運動

   お客のマナー違反が増えるのは問題だが、食べ残しを持ち帰ってもらえば店にとっては廃棄コストが減るという大きなメリットがある。

   全店舗で食べ残しを持ち帰れるのは、リンガーハットが運営する「長崎ちゃんぽん リンガーハット」と「とんかつ浜勝」だ。店員に頼むと、テイクアウト用の容器に入れてもらえる。同社CSR推進室の担当者は、持ち帰りを実施したことで廃棄コストがだいぶ減った、と効果を強調する。持ち帰りを導入する前は1人あたりの食べ残しが30gだったが、実施後は25gになった。

   料理が余りがちなバイキング形式のレストランにも広がっている。横浜国際ホテル、新横浜国際ホテル、立川グランドホテルは、12月からバイキング式の宴会で食べきれなかった料理を持ち帰れるようにした。群馬県内のイタリアンバイキングレストラン「パルティーレ」5店舗でも始めたところ、ゴミの削減に成功した。

   持ち帰りを推進している自治体もある。

   千葉県は12月1日から、食べ残しの持ち帰りを進めるプロジェクト「ちば食べエコ」を行っている。リンガーハットをはじめ、飲食チェーン18社が協力している。2010年1月29日までの2カ月限定だが、県環境生活部資源循環推進課の担当者は「これで終わりということではなくて、何らかの形で継続していきたい」という。長野県や福井県でも持ち帰りの普及を進めている。

   県をあげて取り組んでいるのは、「食品ロス」という深刻な問題があるからだ。外食や家庭で捨てられた食品廃棄量は年間800万トンで、このうち食べられるのに捨てられた「食品ロス」は300~500万トンにもなる。一方、日本の食糧自給率は41%と低く、多くを輸入に頼っている。海外からどんどん輸入しながら、大量に捨てるという大きな矛盾が生じている。

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