民主党・小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」が、4億円ほどもの収入を政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが報じられている。報道によると、その資金は政治団体を経由して、不動産購入に充てられていた。陸山会側は、金融機関で借り入れたと説明しているようだが、専門家は、裏献金の資金だった可能性もありうる、と指摘している。
市民団体が2009年11月に「陸山会」を東京地検特捜部に告発したのは、政治資金規正法違反の虚偽記載だった。すなわち、東京・世田谷区の土地を約3億4000万円で購入したのは、04年10月29日だったのに、05年1月7日とウソを書いたということだった。ところが、今度は、そんな形式犯では済まない可能性が出てきている。
5政治団体を1、2日だけ経由
新聞各紙によると、土地購入の直前に、小沢一郎氏のプール金4億円ほどが、「小沢一郎政経研究会」など5政治団体を1、2日だけ経由して、6~7回に分けて陸山会に流れていた。そして、それが収支報告書に載っていなかったというのだ。もし事実なら、収入そのものを隠した不記載の罪になる。
小沢氏側は、報道によると、陸山会の定期預金4億円ほどを担保に、金融機関から同額を借り入れたと説明している。しかし、借り入れたとした時期は、土地購入後だったというのだ。
もし、報道が事実とすれば、小沢氏側は、その時期を考えて、05年1月7日と書いたのだろうか。また、借り入れが事実としても、なぜ預金を解約して購入に充てず、わざわざ金利を損するようなことをしたのか。小沢氏側の説明だけでは、納得できない点が多い。
政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授(政治学)は、犯罪でよく使われる手法に似ていると指摘する。それは、資金洗浄、マネー・ローンダリングだ。
「裏金を担保に、銀行から同じ額を借り入れます。それを不動産購入に充てれば、『表金』に変身するというわけですよ。陸山会の場合、政治団体を経由してローンダリングが行われていた可能性があると思います」