73年には内奏漏らして防衛庁長官が辞任
政治的な利用を避けるため、閣僚は天皇とのやり取りを明かさないというのが慣例となっており、亀井氏の発言は極めて異例だ。
1973年には、当時の増原恵吉防衛庁長官が、昭和天皇に防衛問題について内奏(説明)後、記者に「昔の軍隊は悪い面もあったが、そこはまねてはいけない。良い面を取り入れてしっかりやって欲しい」などの昭和天皇の言葉を漏らした。これが国会で「天皇を自衛力強化に利用しようとした」として問題になり、辞任している。
01年にも、当時の田中真紀子外相が、国際情勢を内奏した際の陛下の発言を、外務省幹部に漏らした疑惑が浮上。田中外相自身は否定したが、「本当なら切腹もの」などと週刊誌が書き立てた。
それだけに、今回の亀井氏の発言も議論を呼びそうだ。平野博文官房長官は09年12月28日の会見で亀井氏の発言に触れ、「閣僚としての発言ではないと思う。亀井静香代議士の発言だろう」とし、あくまで亀井氏個人としての発言だと強調。「(皇居移転を)政府として考えているわけではない」と説明している。