そば粉の価格が高騰しているという。天候不順が影響して、大不作だったからだ。大晦日も近いがひょっとして、年越し蕎麦の価格も値上がり？
そば粉の不作を伝える報道が2009年11月以降、生産地の長野県や栃木県、福島県、北海道で取り上げられ、全国的な話題となっている。全国蕎麦製粉協同組合の担当者は「最終的な統計は農林水産省が2010年4月頃に発表すると思うが、印象としては、収穫量が前の年に比べて半分以下になるかもしれない」と指摘する。
今年は、種を蒔く夏場に雨が多いせいで日照時間が少なく、成長する秋にも長雨が続き、育ちがよくなかったのだ。台風による影響や昆虫による受粉がうまくいかなかったことも考えられるという。
「そば粉は例年、1キログラム800円前後で取引されていましたが、今年は200円前後上乗せされているようです。不作で国産そば粉を確保するのが難しい、という製粉業者の話も聞いています」（全国蕎麦製粉協同組合の担当者）
値上げの動きはまだないが…
年越し蕎麦値上げはある？
大晦日も差し迫っている中、年越し蕎麦が値上がりすることはあるのだろうか。
横浜蕎麦商業協同組合の担当者は「一概には言えませんが、（組合店に）聞いている限りでは値上げするお店は少なそうです」と話す。担当者の話では、この不況下、店によってはメニューを変え、値下げしたりして、お得感を打ち出す考えの店もあるようだ。中には、値上げをためらっている店もあるかもしれない。一方、関東圏の蕎麦屋、何店舗かに問い合わせたところ、「値上げの予定はない」という回答が寄せられた。
兵庫県豊岡市出石町の郷土料理「出石（いずし）皿そば協同組合」の担当者も、「（加入する）蕎麦屋に聞いていますが、値上げの動きはまだありません」と述べる。国産そば粉の確保が難しいという卸売り業者の話はあるが、「小売価格にはまだ反映していないというのが実情のようです。購入価格にはいつ跳ね返るのか。今後の状況を見ていきたいと思います」と話していた。
前出の全国蕎麦製粉協同組合の担当者は「国産そば粉100％で提供している蕎麦屋ではもしかしたら、値上げが考えられるかもしれません」と指摘する。ただし、一般的な蕎麦屋の多くは、そば粉に加えて、つなぎとして小麦粉などを混ぜている。店によっても異なるが、その割合は6:4か、7:3くらい。使うそば粉が少ない分、まだ影響は少ないと見ている。