「内需、内需というが、景気回復の基本は外需主導」
元日本銀行副総裁で大和総研理事長の武藤敏郎氏は2009年12月22日、東京都内で開かれた認定特定非営利活動法人・言論NPO(理事長・工藤泰志氏)主催の言論NPO設立8周年記念パーティーで、景気回復の要諦をこう強調した。「その意味では最近米国経済が上向きになってきたことは良い兆候」と指摘した。
武藤大和総研理事長は最近米国に出張、米経済人などと意見交換したが、「なお慎重論は多いが、来年後半には景気回復が本格化するという意見が多かった」という。このため米連銀もなお当分の間はゼロ金利政策を続ける見通し。「しかし日本の経験からもゼロ金利の下で行える金融政策というと量的政策しかないが、その実行時期をどう判断するかはきわめて難しい。日本にとっても米国にとっても金融当局が難しい判断を求められる」と語った。
米国の7―9月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は年率換算で前期比2・2%増、市場予測値を下回ったものの5四半期ぶりのプラス成長を記録した。10-12月期も高めのプラス成長を見込む意見が多いが、先行きにはなお慎重論が多い。武藤氏もそのへんは織り込み済みだが、内需のパイがもはや増えないことが明らかになった以上、1980年代の前川レポートのような内需主導で景気回復を期待する時代ではなくなったとして、経済のグローバル体質を強めることの意義を強調した。