石井慧「負けたら自殺」 ビッグマウスは健在

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   柔道金メダリストから格闘技へ転向した石井慧選手(23)が、大晦日にヘビー級のデビュー戦を迎えることになった。この1年、表舞台に出なかったが、いよいよ練習の成果が試される。「負けたら自殺」と相変わらずのビッグマウスだが、そんなにすぐに通用するのか。

「もう吉田選手のパンチは丸見えです!」
「ビビっちゃって、試合をしたくなくなるんじゃないか」

   週刊誌やスポーツ紙のインタビューで、石井節が次々に炸裂した。

「今やマッチョマンじゃないですか」

プレイボーイでも石井特集
プレイボーイでも石井特集

   大晦日の2009年12月31日にさいたまスーパーアリーナで対戦するのは、同じ五輪柔道金メダリストの吉田秀彦選手(40)。総合格闘技では、すでに7年間も活躍しているベテランだ。が、怖い物知らずの石井慧選手にとっては、勝利より視聴率の方が気になるのだろうか。TBS系の番組「Dynamite!!」での試合中継について、24日の記者会見では、視聴率でNHKの紅白歌合戦を超えたいとまで言い放った。

   石井選手は、08年11月3日に総合格闘技への転向を宣言。同年の大晦日にデビューとの情報も流れたが、その後は、表舞台に出なかった。09年3月から、ブラジルやアメリカに遠征し、現地の道場でスパーリングなどの練習を積んできた。ブラジルでは、米UFCの世界ライトヘビー級王者のリョート・マチダ選手に入門したという。

   週刊プレイボーイによるインタビューでは、その肉体改造ぶりに「今やマッチョマンじゃないですか」との指摘が出ていた。

   もっとも、石井選手には格闘技初体験とあって、苦労もあったようだ。インタビューでは、「最初は目の前にパンチが飛んできたら目を瞑ってしまった」と告白している。

   とはいえ、次第にパンチが見えてきたと自信を示した。そして、「負けたら自殺します」とまで覚悟をみせたのだ。日刊スポーツのインタビューでも、「負けたら終わりですわ、自分の人生」と背水の陣でデビュー戦に臨むとしている。

パンチの実力などで課題が

   ビッグマウスは、エンターテイナーの自覚ゆえかもしれないが、石井慧選手は、どれだけ格闘技に通用するようになったのか。

   月刊誌「ゴング格闘技」の松山郷編集長は、この1年の武者修行は大きいとする。

「昨年の大晦日に石井選手が出なかったことで、『タイミングを外した』との声が大きいようです。しかし、準備は当然で、無駄ではなかったと思います。修行先のメンバーや実績を見ても、かなりシビアなところで練習しています。リョート・マチダ選手といった現役王者との経験は大きいでしょう。『練習で落ち込んだ』と言っていましたが、最後は手応えを感じたようですね」

   ただ、柔道と格闘技は競技やルールが別物のうえ、練習と実戦は違う。このため、試合はやってみなければ分からないところが大きいという。

   また、対戦相手の吉田秀彦選手は、デビューから16戦を重ねて経験があり、特に、パンチの実力では石井選手より上ではないかとみる。

「石井選手は実戦で殴られた経験がなく、本気のパンチがどういうものか分からないでしょう。格闘技は、柔道よりやることが多く、経験の差が試合で大きく出るかもしれません。今の格闘技界は、10年選手がほとんどで、若手が急に結果を出せるような甘い世界ではないです。吉田選手は、近年万全でない状態が続き、今年も試合に多く出ていませんが、取材したところでは、今回は最高のコンディションということですよ」

   一方、「ゴング格闘技」の特集記事では、石井選手がポイントを稼いで勝つ可能性を指摘している。実際、石井選手は、柔道時代もこうした戦術を得意としていた。松山編集長は、「それで強くなった格闘技の選手も見てきており、その選択肢は当然あるでしょう」と言う。また、柔道78キロ級から増量した吉田選手に比べ、100キロ超級で活躍した石井選手の方が、骨格がしっかりしているのも有利かもしれないという。

「最後は、コンディション次第でしょうね。格闘技界が世代交代する意味では、石井選手が勝たないといけない試合になります。ヘビー級で期待を集めていますから、介錯する気持ちで次代を担うような戦いをしてほしい」
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