「ウェブに前向きではありませんので、(取材は)お受けできません」
川久保玲さんが社長のコムデギャルソンでは、ユニクロなどの量販店と1ケタ違う価格の衣料品が多いようだ。
通販サイトを見ると、外国人イラストレーターを起用したTシャツが1万3440円、英モーターサイクルジャケットのブランドとコラボしたスニーカーが3万5805円、4万2000円で売られていた。
同社に取材しようとしたが、プレス担当者は、「弊社は、ホームページもなく、ウェブに前向きではありませんので、お受けできません」とのことだった。さらにネット上の異論について聞くと、「個人個人でお思いになられたことですので、何も申し上げることはありません。記事に出たのが川久保の意見で、それ以上でもそれ以下でもないです」と話した。
ジーンズ販売現場では、「3ケタ」への対応の違いで、考え方が分かれている。
880円の商品を売り出したイオンでは、品質についてこう弁護する。
「スケールメリットなどで、品質のよいものを安くできています。委託先の工場に継続的に発注していることから、スキルが上がり、生産性もアップしています。機能はしっかりしており、一定基準をクリアしています。洗い加工を加えた1980円のジーンズも揃え、デザイン性でもお選びいただけます。いろんな意見があるようですが、無理に安くしているわけではなく、合理的な仕組みで利益を上げているんですよ」
2009年8月に880円ジーンズを発売して、3か月で70万本も売り上げたという。
一方、リーバイスなど既存ブランドを主に扱っているジーンズメイトでは、3ケタジーンズについてやや懐疑的な見方だ。
「薄い生地や原価の安いボタンなど、それでもいいというお客さまで成り立っているようですね。工場で余ったものを使っているといううわさもあり、生地がなくなれば安定的に供給できなくなるのでは。うちは『ジーンズ』の名前をうたっていますので、ある程度クオリティのあるものでやっています。丈夫にできていて安心というブランドバリューがありますからね。わざと古着っぽくするなどファッション性を出すと、コストもかかるんですよ」
1万円以上のブランド物もあるが、安くてもクオリティのある1990円の商品も揃え、2極化する客のニーズに応えていきたいともいう。