肝心の法務省が「先んじて積極的に検討しうるものではない」
内閣官房の地域活性化統合事務局では、提案を受理した後、関係する省庁に審査を振り分け、佐世保市などと協議を続けたが、09年11月になって、構想を「不認定」とする方針が決定。またしても、構想が却下された。
提案を審査したのは、警察庁、総務省、法務省、国土交通省の4省庁。審査のプロセスがウェブサイト上で公開されているのだが、その内容が驚くべきものだ。
佐世保市などが提出した提案では、焦点となっている刑法について、
「刑法185、186条の規定による違法性を阻却するため、同35条の『法令又は正当な業務による行為は罰しない』を根拠に、カジノ関連法を制定することでカジノ特区を実現しようとするものである」
とあるが、肝心の法務省は
「カジノを法制化しうるか否かは、法務省が先んじて積極的に検討しうるものではない」
として検討を拒否。その他3省庁についても、
「カジノの実施については法制化が必要であり、関係各省、社会全体において様々な問題点が検討されなければならないものと承知している」(総務省)
「カジノをどのように位置づけていくのかということについては、カジノ導入に伴う社会的影響が大きいと考えられることからも、様々な分野における国民的議論が必要」(国土交通省)
「カジノの合法化を積極的に推進する立場にはないが、カジノを実施するための法律案が具体的に検討される場合には、これらの治安上の観点から、必要な意見を申し述べて参りたい」(警察庁)
と、いわば「よそがやるなら検討してもいい」という、きわめて消極的な態度に終始した。
提案が却下されたことを知らされた朝長則男佐世保市長は、11月17日に
「刑法の違法性を阻却するために、具体的な法律案を作成し、添付した上で提案を行ったので、関係省庁においては、これまでの前例にとらわれず、もう少し前向きな議論をしていただきたかった。カジノは観光立国を目指す日本にとって重要であるとの考えから、カジノ特区の提案は今後も続けていきたい」
とのコメントを発表、悔しさをにじませた。
このような状況が展開されたのは、つい1か月前のことだ。さらに、今回の「沖縄カジノ構想」をめぐっては、仲井真知事こそ「政権が前向きなのは結構なこと」と歓迎姿勢を見せるものの、地元紙の琉球新報も、12月19日の社説で
「拙速なカジノ導入で沖縄経済が傾いた場合、誰が責任を取るのか」
と、きわめて冷ややかで、地元の理解が得られるかすらも極めて不透明だ。