漫才日本一を決める「M-1グランプリ」で優勝したパンクブーブーに、番組出演などのオファーが殺到している。ただ、M-1のレベル低下が指摘され、本人たちも地味な印象やトーク下手が課題とされている。必ずブレークする「M-1神話」はどうなるのか。
「マネージャーも、『パンク状態だ』と言っています。死ぬほど電話が来ているようですよ」
お笑いコンビのパンクブーブーが所属する「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」の広報担当者は、オファー殺到ぶりについて、こう明かす。
ブログに、コメント計3000件以上!
テレビ朝日系で2009年12月20日夜に放送されたM-1決勝戦で、3組が激突した最終決戦。パンクブーブーは、決勝戦初出場で、大会委員長の島田紳助さんら審査員7人の満場一致で優勝した。それも、2連覇を目指す「NON STYLE」、8回連続決勝進出の「笑い飯」という実力者を抑えての快挙だった。
今や国民的イベントになったM-1だけに、一躍脚光を浴び、バラエティ番組やワイドショーに引っ張りだこだ。日本テレビ系の「行列のできる法律相談所」への出演が決まったほか、21日は早速、テレ朝系の「ワイド!スクランブル」に出て、優勝の喜びを語った。
パンクブーブーは、ボケ担当の佐藤哲夫さん(33)とツッコミ担当の黒瀬純さん(34)がコンビを組み、01年4月に福岡で結成された。NHKの「爆笑オンエアバトル」では、チャンピオン大会の常連だったが、地味な印象もあって、一般にはまだ馴染みが薄かった。そして、デビューから9年連続して出場してきたM-1で、ようやく悲願を達成した。
状況は、ガラリと変わった。佐藤さんのブログには、コメントがなんと2000以上も殺到し、黒瀬さんのブログにも1000以上が寄せられている。いずれも、優勝を祝福するものがほとんどのようだ。
「優勝したけど消えそう」との声も
ただ、M-1期間中は、パンクブーブーの2人は、話題性で埋没ぎみだった。
9組で争われた決勝戦では、笑い飯が披露した「鳥人」が、島田さんから100点満点を勝ち取った。M-1の9年にわたる歴史で初めてだという。この快挙に、ネット上では、ウィキペディアに「鳥人」の項目が一時作られたほか、イラスト投稿サイト「ピクシブ」でも鳥人作品が続々アップされた。
また、2ちゃんねるなどでは、パンクブーブーの優勝は順当なものの、大会そのもののレベルが落ちたとの指摘も多くみられる。書き込みでも、「パンクブーブー前から注目してました」「俺はオンバトのころから毎回録画してるぜ」といった声の一方で、「優勝したけど消えそう」「鳥人が強烈過ぎてあとは覚えてない」という厳しい指摘も出ている。見た目は、オリエンタルラジオの2人に似ており、芸風はアンタッチャブルに近いとの見方もあるようだ。
島田紳助さんらからは、「フリートークが下手」との指摘が出ており、パンクブーブーの2人も「2、3年後を見据えたつき合いをみなさんして下さい」と弱気なところも見せていた。
2人の給料は現在、月13、4万円といい、吉本芸人なら優勝しても18万円ぐらいにしか上がらず食べていけないとも。今後、審査員の満場一致でM-1に優勝したチュートリアルなどのように、バラエティ番組などで目立つことができるのかが、生き残りのカギになりそうだ。
ちなみに、パンクブーブーは、M-1スポンサーのオートバックスのCMに起用される方向だが、ネット上では、「カー用品店なのに縁起が悪いのでは」との声もある。このことについて、よしもとクリエイティブ・エージェンシーでは、「芸名を逆手に演出することもできますので、CM出演には問題ないと考えています」と話している。