「スポーツ番組でのアナウンサーの服装が不適切」との苦情がフジテレビの番組批評番組で取り上げられ、ネット上を中心に波紋を広げている。問題とされた番組では、ドラフト1位で西武ライオンズに入団した菊池雄星投手に対して、女性アナウンサーが、太ももをあらわにした衣装でインタビュー。菊池投手も目のやり場に困っている様子だった。
批評番組では、アナウンサー側に同情的だったもの、このスポーツ番組では、以前にも「2人いるアナウンサーのうち、どっちを選ぶか」という、スポーツと全く関係ない質問をしている。いわば、「アイドルとして取材対象に接している」と言われても仕方のない状況だ。
「短めのボトム」が与えた印象とは
話題になっているのは、2009年12月19日に放送された「新・週刊フジテレビ批評」の内容。同番組は、毎週土曜日早朝5時から生放送されており、同局が放送した番組に対して寄せられた視聴者からの意見が紹介される。それをもとに、コメンテーターが意見を述べたり、局側の見解が示されたりするというのが、主な番組の流れだ。
紹介される視聴者の声は、局側に批判的なものの方が多く、例えば、スポーツバラエティーに対しては
「CMまたぎの強引な引っ張りや『重大発表』という名の番組予告などいいかげんにやめて欲しい」
ドラマに対しては、
「ファッションが時代に合っていない」
といった具合だ。その中で、12月10日深夜に放送された「すぽると!」に対して寄せられたものもあったという。司会の武田祐子アナウンサーが、「30代女性の方から」の意見として読み上げた内容は
「女性アナウンサーが菊池雄星君にインタビューしていましたが、あのような格好はふさわしくないと思います。TPOをわきまえて欲しいです」
というものだ。
武田アナウンサーは、
「これは、短めのボトムを履いていたことに対するご意見でした」
と補足したが、「短めのボトム」が与えた印象が、少々強かった様子だ。
実際の番組のVTRを確認すると、菊池投手にインタビューしていたのは、同局の看板アナウンサーのひとりでもある平井理央アナウンサー。上半身は白のニットワンピースだったが、下半身は、太ももをあらわにしたショートパンツ姿。終始、菊池選手は顔を紅潮させながら、目のやり場に困っている様子にも見えた。
「世界に本田アナと平井アナしかいなかったら、どちらを選びますか?」
女性アナウンサーの服装が問題にされること自体珍しいが、番組では、このあと数分間にわたって、異例の「服装談義」が展開された。
コメンテーターの上智大学文学部新聞学科の音好宏教授が、
「武田さん、衣装っていうのはどうやって決められていますか?」
と疑問を投げかけ、武田アナが
「基本的には、スタイリストさんが持ってきてくださって、それで、話し合って決めるということが多いです」
と説明すると、
「そうなると、やっぱりスタイリストの方が、番組に合わせたイメージのものを選ばれてるっていうことですよね。私は、あんまり、衣装ひとつに『キリキリ』(目くじらをたてる)ということはあんまり思いません」
と、いわば「スタイリストが選んでいるのであれば、特に問題ない」との立場で、さらに、音教授は
「もう少し、視聴者も鷹揚に構えてもいいのかなぁ、と思います。特に女性アナウンサーは注目をされますので、そういうところで、こういうご意見もあるのかなぁ、と思いました」
とも述べ、ややアナウンサー側に同情的ですらあった。
ただし、菊池選手は09年秋のドラフト会議後にも、同じくドラフト1位で巨人入団を果たした長野久義選手とともにこの番組に登場している。そのとき、両選手に投げかけられた質問のひとつが、
「世界に、(番組司会者の)本田(朋子)アナと平井アナの2人しかいなかったら、どちらを選びますか?」
という、スポーツとは全く関係ないもの。後にテレビ朝日の下平さやかアナウンサーとの交際が報じられることになる長野選手は
「いやぁ、どっちも選べないっすね…」
とかわしてみせたものの、菊池選手が5秒以上の沈黙の後に口にした言葉は、
「ひ…。あ、これ、言っていいんすか?平井アナウンサーです。かわいいっす」。
菊池投手は「あこがれのアイドル」に対面でき、そのせいで顔を紅潮させたのだろう。