流通最大手のセブン&アイが、総合インターネットショッピングサイト「セブンネットショッピング」を2009年12月から開始した。これまではネット書店事業、チケット販売、ネットスーパーなどグループ各社が個別に運用していたネット通販事業を総合サイトに統一することで相乗効果を発揮し、ネット通販で先行する専業者の市場独占に風穴を開ける狙いだ。
「全国に1万点以上あるセブンーイレブンで商品を受け取れる。セブン&アイグループのプライベートブランド(PB)商品も強みの一つだ」。セブンネットショッピングの鈴木康弘社長は記者会見でこう述べ、後発組としての遅れは挽回可能と自信を見せた。
系列コンビニでの商品受け渡し可能を強調
ネット通販の世界では、楽天や米アマゾン、ヤフーなどの先行組の好調が続いてきた。最大手、楽天が運用するネットサイト「楽天市場」に出店する専門店は約3万店、取扱商品数は約4600万点と群を抜く。商品が自宅に届かない場合は50万円を上限に無料補償するサービスも同社が始めた。セブン&アイグループのスーパー、イトーヨーカ堂を含む「リアル」店舗組の業績が水面下に沈む中、楽天市場の1~9月の商品販売額は前年同期比約2割増の5671億円と、消費低迷を尻目に右肩上がりの成長を続けている。
セブンネットの取り扱い商品は当初は書籍、音楽・映画ソフト、ゲーム、食品、酒類、ホーム&キッチン用品など約500万品目。11年末までには医薬品や衣料品、旅行やコンサートチケットなども加えて1000万品目まで増やす計画だが、それでも楽天との差は大きい。サイトの魅力を高めるため、スタジオジブリ、エイベックス、ポタジエなど32の専門店と連携するとともに、系列コンビニでの商品受け渡しという独自の取り組みを強調するのはそのためだ。
傘下のそごう・西武では、ネットで化粧品を買った顧客に店舗で相談に応じるサービスも始める予定で、ネット販売のドライな対応に終わらないリアル店舗との連携も強めるという。