日本海の名称をめぐる日韓の主張が平行線をたどるなか、人気ゲームソフトの動画の古地図に「『朝鮮海』を意味する言葉が登場している」として騒ぎになっている。ゲームメーカー側は「現存する古地図をそのまま利用した」と事実確認を避けているが、ゲーム利用者の公式掲示板でも「本当に残念」「非常に不愉快」などと書き込まれ、波紋が広がっている。
波紋が広がっているのは、ゲームメーカー「コーエー」(横浜市港北区)のロールプレイングゲーム「大航海時代Online ~El Oriente~(エル・オリエンテ)」。「大航海時代Online」は、大航海時代をモチーフにしたオンラインゲームで、現在はウィンドウズとプレイステーション3(PS3)向けにサービスが展開されている。
「MER DE COREE」とも読める文字列
2009年12月15日、これを拡張する形で東アジア地域での冒険が楽しめるようになる「エル・オリエンテ」のサービスが始まったのだが、このオープニングムービーに登場する表記が問題化している。
問題とされる箇所は、オープニングムービーが始まっておよそ20秒が経過したあたりだ。ムービーの冒頭では、古い世界地図のようなものを背景に、船がブルネイ、マニラ、グアムなどを経由して日本にたどり着くまでを描いているが、日本列島と朝鮮半島との間に、不鮮明ながら「MER DE COREE」とも読める文字列が確認できる。これは、主に18世紀にフランスで制作された世界地図で確認されている表現で、その意味は「朝鮮海」。
日本海の名称をめぐっては、03年ごろから日本と韓国の間で論争が再燃しているが、この論争で、焦点になっているのは「『日本海(Sea of Japan)』か『東海(East Sea) 』か」。韓国や北朝鮮でも、「朝鮮海」の名称を主張する声は多くない。
「現存する古地図をそのまま利用したもの」
これを受けて、「大航海時代 Online」の掲示板は、
「ただでさえ微妙な時期に最悪のことをしてしまいましたね」
「日本人ユーザーの気持ちを無視してるとしか思えない」
「運営側にとっては些細な事かも知れないがこれだけ不快に感じている人がいるのだから修正するべきでしょう」
などと、表記の修正を求める声であふれている。
コーエーの宣伝部広報課では、問題の表記が掲載された経緯について、
「ムービー中の古地図は、現存する古地図をそのまま利用したものとなります」
とのみ説明。さらに、「ムービーの内容を差し替える予定はあるのか」という記者の問いに対しては、
「お客様からいただいたご意見は、関係部署に伝えさせていただきます」
とだけ答えた。
ゲームで日韓をめぐる地名表記が問題化したのは、今回が初めてではない。例えば07年12月には、マイクロソフトのゲームマシン「Xbox360」を利用したサービスの登録画面で、「竹島」と入力するとエラーメッセージが出るのに対して、韓国が竹島の名称として主張する「独島」を入力すると正常に登録されることが発覚。日本側の利用者が猛反発したことから、08年3月になってマイクロソフトはプログラムを修正し、お詫びの文章を掲載することになった。
今回の問題でも、さらに波紋が広がる可能性がありそうだ。