追徴課税を受ける可能性もある
政治家の遺産相続をめぐっては、14年ほど前にも、「生前贈与隠し」が問題化したケースがある。問題とされたのは、1992年に82歳で死去した斎藤邦吉・元自民党幹事長の遺産。斎藤氏の遺族は遺産額を約7億7000万円と申告していたが、95年になって東京国税局が約9億円の申告漏れを指摘。そのうち約7億円1000万円は無記名の割引金融債「ワリコー」だった。斎藤氏は生前、87年から92年にかけて、数回にわたってワリコーを譲渡したが、譲渡を受けた3男は生前贈与の申告をしていなかった上、遺産相続時にも相続遺産として申告していなかったため、「遺産隠し」を認定されたとされる。3男は、当時は大手電機会社に勤務しており、譲渡の対象が政治家ではないという点でも、今回のケースと共通している。当時の新聞報道によると、斎藤氏の遺族側は
「3男が自分の資金で買ったワリコーと、譲渡されたものがごちゃごちゃになった。それを『全部隠した』と決めつけられた」
などと反論していたが、結果的に追徴課税されている。
今回のケースでは、母親から首相の姉に提供された金額は明らかになっていないものの、億単位での追徴課税を受ける可能性もありそうだ。