魅力は「五感を刺激する」店作り
それにしてもテレビCMなどでがんがん宣伝しているユニクロやH&Mが近くにあって、アバクロ銀座店はやっていけるのだろうか。
「アバクロストアの本当の魅力は『五感を刺激する』店作りです。と言っても、味覚はないと思いますが」
前出の齊藤さんはアバクロの強みはこんなところにあると指摘する。
まずは「視覚」。店内の内装は高級感のあるつくりで、店の雰囲気を盛り上げるために採用されているというイケメン「ストアモデル」がお出迎えする。さらにクラブにいるような大音量の音楽が「聴覚」を刺激し、オリジナルフレグランスが香り「嗅覚」も満たされる。床はふかふかのじゅうたんがひいてあり、商品のさわり心地もいい。
個人のブログでも、「あの独特な空間はテンションが上がり好き!! 店内のセクシーな香り…カッコいい店員さんも同じ香り…薄暗い空間で大音量の音楽…」と書き込まれていて、アバクロでしか味わえない雰囲気に虜になるお客もいるようだ。
ただ、前評判はいいが、懸念点もあると齊藤さんは指摘する。
「安いファスト・ファッションと比較されて報じられていますが、アバクロを知らなかった人には、ただ高いブランドというイメージを持たれてしまい、マイナスだと思います。今後、どんな価格戦略を打ち出していくのか、業界の中で注目されています」
そうでなくとも消費が落ち込んでいる日本で高めの価格帯が受け入れられるのか、疑問が残る。一方で強気の価格設定をしているのは、日本進出が本命ではないから、とも考えられそうだ。アバクロにとって今回、日本初の店舗であると同時に、アジア初の出店となる。中国人などアジアから観光客が集まる銀座にまず出し、アジア圏内に広くアピールした上で、中国で多店舗展開するのではないか、と齊藤さんは見ている。