80歳目前、したたか鈴木会長はどう動く
鈴木会長は「ハイブリッドだとか軽量化やディーゼルの問題、ディストリビューター、南米やアジア、アフリカはどうするかなど、グローバルでどこでも協力しあっていく」と話し、ヴィンターコルン会長は「われわれは欧州市場、スズキはインド市場のことがよくわかる。互いに情報交換して部品共通化を進めていきたい」と語った。
記者会見で鈴木会長が繰り返したのは「イコールパートナー」という言葉だった。企業規模、出資のインパクトを考えるとVWグループに組み込まれると見られても不自然ではないだけに、さまざまな質問に対してスズキの自主独立を強調した。GM、インド政府、日産自動車など世界中でより大きい相手と丁々発止やりあいながら協力関係を築いてきた名経営者らしく、主導権への強いこだわりを見せた。
フェルディナンド・ピエヒVW監査役会会長も見守る会見では終始、鈴木会長を立てたVW側だったが、両社の関係がどうなるかは予測できない。三菱自動車に対するダイムラー・クライスラーのような支配欲むき出しの進め方は避けると見られるが、彼我のメリットデメリットをどうバランスさせるか。トップからプロジェクトメンバーまで、どういう方針で共同の仕事に臨むかが今後を大きく左右する。提携交渉に当たった会長の長男、鈴木俊宏取締役専務役員の動きにも関心が集まりそうだ。「年齢は7掛け」が口癖の鈴木会長は年明けに80歳を迎える。