選挙「当確報道」にウンザリ感 マスコミ関係者が実情を語る

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   選挙報道のあり方について考えるパネルディスカッションが2009年12月12日、青山学院大学(東京都渋谷区)で開かれ、放送局や通信社幹部が、「現場」から見た選挙報道の実情を語った。

   パネルディスカッションは、マスコミュニケーション学会の倫理法制部会が「選挙コミュニケーションの法と倫理~8月衆議院選挙で顕在化した諸問題~」と題して開いたもので、共同通信社論説委員長の吉田文和氏やTBS報道局選挙本部長の桶田敦氏、大石泰彦・青山学院大学教授らが参加。約25人が、3時間にわたって熱心に耳を傾けた。

会場では3時間にわたって議論がかわされていた
会場では3時間にわたって議論がかわされていた

   吉田氏は、08年9月の麻生政権発足直後から衆院解散のタイミングが焦点になっていたことを念頭に、

「ほぼ10か月にわたって選挙報道をしていた形で、時間的には余裕があった。かなり掘り下げられたのではないか」

と振り返る一方、

「どうしても(焦点が)『自民-民主』にしぼられて、そこに公明党がからんでくるという形になってしまう。『小政党の扱いはどうするか』という問題が出てくる」

と、二大政党以外の扱いに苦慮したことを明かした。

   桶田氏も、

「8月13日に行った党首討論会を企画する際にも、『自民-民主』のみで出来ないかを検討した。自民か民主しか政権党になりようがない訳なので、それ以外の党については、『これらの2党に対してどうコミットするか』を聞く形にできないか、という方針。結局は『今の枠組みでは難しい』ということで、今の(6党首が集まる)形になった」

と話した。

「『NHKに勝てて良かった』みたいな総括しかしていない」

   話題は「当確報道」のあり方にも及んだ。マスコミ側からは

「(投票が締め切られて、番組が始まる)8時が最大のメインイベント。『あと3~4時間あれば結果は分かるのに、どうしてそんなに急ぐの?』という疑問があることも承知している」(桶田氏)

と率直な声がある一方、客席のマスコミ関係者からも

「『当確競争』は、行くところまで行ってしまったのでは。自分が所属している新聞社と系列テレビ局では『NHKに勝てて良かった』みたいな総括しかしていないが、視聴者の間には『ウンザリ感』『満腹感』があるのではないか」

との声があがるなど、現在の選挙報道のあり方が見直しを迫られているという点では一致していた。

   また、民主党などが提唱している、インターネットを活用した選挙活動の解禁については、吉田・桶田両氏は、解禁は必然との見方を示す一方で、大石教授は、ビラ配りや路上デモ、パフォーマンスに対して取り締まりや有罪判決が相次いでいることなどを念頭に、

「ネットだけ解放すれば良い訳ではない。一般市民、個人の表現が守られるようにならないと、ネットの方もおかしくなる」

とくぎをさしていた。

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