「目標が明確、意欲的な人が多い」
一方、全国で大卒の新卒採用を2000年にはじめたが、大工志望者の学生が続々と集まってきている。中には東大や京大、早稲田や慶應などの学生もいる。2011年の採用では、大工で25人程度の採用を考えているが、就職サイト「リクナビ」を通じて現段階で400人以上がエントリーしているという。このうち、説明会・1次面接を予約したのは250人。
「大工志望者はここ数年、増加しています。大工になりたいという人は大学時代、建築や設計をすでに学んでいて目標が明確、意欲的な人が多い」
総務部の安田武さんはこう話す。代表の秋元さんは著書「高学歴大工集団」の中で、大工志望者を「若い人たちは今まで、自分から『大工の弟子にしてください』と自分から願い出ることはなかった。『ぜひ来てください!』と両手を広げて受け入れる会社が、どこにもなかったからです」と言っている。大工になりたかった人は潜在的に、多かったのかもしれない。
安田さんによると、新入社員は職種に関わらず入社後の1年間、現場での仕事が課せられている。「これは建設の過程を知ることと、肉体労働を通じて結束力を育てていくが狙いです」。また、大工志望者の場合は、最初に賃貸マンション、次に住宅、そして数寄屋建築と順を踏みながら、兄弟子に仕事を教わって憶えていく。「学歴なんて全く関係ありません。それだけに、教える側も教わる側も切磋琢磨しながら、緊張感を持って取り組んでいます」