「負け組の星」として2003年から2004年にかけて一大ブームを巻き起こした競走馬ハルウララ。競馬場から姿を消して5年、人里離れた牧場で静かな余生を送っていたが、再びスポットライトがあたろうとしている。史上最強の呼び声も高い名馬ディープインパクトの仔を出産させようという計画が進んでいるというのだ。
ハルウララは1998年から2004年にかけて高知競馬場を舞台に競走生活を送ったが、113戦して0勝。走っても走っても勝つことができないその姿が哀感を呼び、マスコミの報道によって全国的なスターになった。連敗記録が「100」に達するころからブームは過熱し、ハルウララの単勝馬券を求めて高知競馬場にファンが殺到した。
引退後は北海道・日高の牧場で繁殖牝馬として生活
引退後、千葉県勝浦の牧場で余生を過ごしていたが、2009年夏に北海道・日高の牧場に移動。来春の受胎を目指して、繁殖牝馬としての生活を送っている。問題はその相手だが、なんとディープインパクトが候補にあがっているのだという。
ディープインパクトはちょうどハルウララと入れ替わるように2004年から2006年にかけて活躍した、日本の競馬史を代表する名馬だ。皐月賞・ダービー・菊花賞を制して史上2頭目の「無敗の三冠馬」に輝いたほか、天皇賞やジャパンカップにも勝ち、14戦12勝というほぼパーフェクトな成績を残した。前半は最後方に待機し、最後の直線で他馬を一気にごぼう抜きする豪快な走りっぷりが多くのファンを魅了した。
ひたすら負け続けた馬と勝つことを宿命づけられた馬。まったく対照的な現役時代を過ごした2頭の仔を誕生させようという計画は、2009年11月20日に放送されたフジテレビの特集番組「探そう!ニッポン人の忘れもの」のなかで明らかにされた。ハルウララの馬主の意向で、2010年春にディープインパクトと種付けすることを計画しているのだという。
「最弱馬」と「最強馬」の組み合わせに賛否両論
競馬史に残る「最弱馬」と「最強馬」の組み合わせに、競馬ファンの間で賛否両論が起きている。SNSサイト「ミクシィ(mixi)」では、ハルウララの馬券を持っているというファンが、
「負けても人気があったハルウララと13戦12勝(日本)のディープインパクトの子供がどんな活躍をするのか今から楽しみです」
という日記を書いている。その一方で、ディープインパクトの種付け料が初年度1200万円もしたことから、
「一発1200万円の子種を無駄にするなよな~(笑)」
という皮肉めいたコメントもある。20代のある競馬ファンは
「ハルウララとディープインパクトというのは面白いけど、元が取れるのかなという気がする。競馬の世界では母馬の血統が重要といわれるので、いくら父がディープインパクトでも、母がハルウララではあまり良い成績は期待できないのではないか」
と話している。