政府が求めていた「量的緩和」の表現を使う
それでも市場では、「12月17、18日の定例の決定会合まで日銀は動かない」との見方が大勢だった。日銀が約1年ぶりに臨時の決定会合を開いてまで追加策の実施を決めたのは、翌2日に鳩山由紀夫首相との会談を控えていたためだ。鳩山首相から要請される形で追加緩和に踏み切れば、「政治に弱い日銀」の印象が強まり、信頼性に影響が出る。このため、日銀の主体的な判断で動いたことをアピールしたかったようだ。
一方、白川総裁は1日の会見で、今回の追加策を「広い意味での量的緩和」と説明。日銀が01年3月から5年間実施した量的緩和と異なり、今回は量を目標とせず、短期金利の低下が狙いであるにもかかわらず、政府が求めていた「量的緩和」の表現を使った。こうした政治への配慮とも受け止められる言動が、逆に政府の風圧を意識させる結果を招いたのも事実だ。