「DPP-4」の働きを抑えて血糖改善を促す
糖尿病の薬というとこれまで、肝臓でのグルコース(ブドウ糖)の生成を抑制する「インスリン抵抗性改善系」や、すい臓からのインスリンの分泌を促進する「インスリン分泌促進系」、食後中の炭水化物をグルコースに分解する酵素の働きを阻害することで糖の吸収を遅らせて血糖値を下げる「食後高血糖改善系」があった。
ただ、低血糖症や肥満、むくみなどの副作用を伴うため、患者側もきちんと服用せず、血糖コントロールを妨げる結果になっていた。
「ジャヌビア錠」は、1日1回の投与で食事の影響を受けないので、いつでも気がついたときに服用できる。関西電力病院院長の清野裕先生は、「糖尿病治療薬は長期にわたって効き目が持続することが第一。引き続き長期臨床試験を観察する必要があるものの、今回の新薬は身体に負担をかけず簡便に服用でき、体重増加や低血糖症を起こさせない点はいいのでは」と話す。国内における12週での臨床試験ではヘモグロビンA1cの低下効果も認められ、既存の糖尿病治療薬との併用による有用性も認められた。
そもそも、日本人はインスリンの分泌が欧米人に比べて低い。同じように太っていても、欧米人に比べて日本人のほうが糖尿病になりやすいのはそのためで、過食を避けるのはもちろん、運動不足の解消や食生活の見直しも忘れてはならない。