原口総務相「奇妙なルール」への感想を述べる
結局、質問権は認められないまま、原口総務相の会見は午前11時すぎに始まった。記者の質問は、閣議決定されたばかりの追加経済対策から独立行政法人の「隠れ天下り問題」まで多岐に及んだが、原口総務相は言いよどむことなく一つ一つ丁寧に答えていく。しかしJ-CASTニュースの記者は、目の前に大臣がいるのに質問できない。歯がゆい思いでメモを取り続けながら、会見の成り行きを見守った。
会見から約30分がたったとき、原口大臣が「よろしいでしょうか?」と会見終了の問いかけをして、クラブの記者が「ありがとうございました」と応じた。そのときだ。「大臣!」。J-CASTニュースの記者は思い切って手をあげ、発言を求めた。
「今日は『質問してはいけない』というクラブからの申し入れがありましたので、『質問』ではなく『問題提起』としてお話させていただきます」
そう口火を切って、記者会見オープン化についての「問題提起」に及んだのだ。
「9月に記者会見をオープンにするという提案を大臣がされていますが、2か月以上たっても、まだ実施にいたっていません。金融庁では亀井大臣主催の会見が開かれていて、まさしくいまネットで中継されています。情報通信政策を主導する総務省として、また国民の平等なアクセスという観点から、もう一つ別に、クラブ以外の会見を開いたらいかがでしょうか」
そう一気に話した。「質問」ではなかったためか、記者クラブの記者による制止はなかった。原口総務相は一瞬驚いた表情を浮かべたが、こちらの目をしっかり見て、話を聞いてくれた。そして、次のように発言したのだ。
「問題提起ということで、質問に答えるのはできないということですが(笑)、それも変な話です」
と「奇妙なルール」への感想を述べたうえで、記者会見オープン化についての見解を明らかにした。
「私は、すべての人にアクセスされるということで、記者クラブには『セキュリティの問題などをクリアーしたうえで、オープンにしてください』というお願いをしています。まだそのことが検討中なのだと思いますが、もうそろそろ70日を超えますので、どういうご決断をいただいたのかをうかがって、私たちの意図と違うのであれば、また話し合いを進めていきたいと思います」
このように記者会見オープン化に向けた強い意欲を示し、最後にこう付け足したのだった。
「インターネットの中継、大歓迎です」
原口総務相の発言によって、総務省の記者クラブは改めて宿題を突きつけられた形になった。記者クラブの記者たちの実行力が試される。