ソニーがハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)などで需要拡大が予想される大容量リチウムイオン電池に本格的に参入する方針を表明した。自動車向けリチウムイオン電池をめぐっては、パナソニックと三洋電機のグループが世界シェアの3割を占めてトップに浮上することになり、トヨタ自動車など大手自動車メーカーとの提携を深めている。
この分野でソニーは大手電機としては最後発となるが、日産自動車が10年後半にEVを日米欧で市販するなど、世界でリチウムイオン電池市場が拡大するのは確実。今後、電機メーカーと自動車メーカーの電池開発競争が激化するのは必至だ。
サムスングループは独部品大手のボッシュと組む
ソニーが自動車向けリチウムイオン電池の開発に乗り出すのは、ライバルのパナソニックがこの分野で先行していることへの警戒感がある。パナソニックはトヨタ自動車と提携し、現行のHV用ニッケル水素電池だけでなく、次世代のEV用リチウムイオン電池を開発・量産する。これに加え、分野をリードする三洋電機を年内に子会社化し、開発・量産体制を拡大する。三洋は独フォルクスワーゲン、米フォードなどと既に提携しており、パナソニック・三洋グループは日米欧の主要自動車メーカー10社のうち、自動車用電池で5社と提携するなど業界をリードしている。
韓国は自動車用電池の開発では日本に遅れをとっているが、サムスングループが独部品大手のボッシュと組んで独BMW向けの電池工場を建設するなど、追い上げを図っている。
自動車向け電池のうち、次世代の大容量リチウムイオン電池は、HVやEVの性能向上の鍵を握る技術で、1回の充電で走れる距離を伸ばすこととコストを引き下げることがEVの普及には不可欠とされる。このため自動車メーカーと電機メーカーの提携は急速に進み、日産自動車がNEC、ホンダがジーエスユアサと提携し、共同出資で大容量電池の開発と供給を目指している。日立製作所は米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携、三菱自動車もジーエスユアサと提携するなど合従連衡が進み、世界市場の勢力地図がしだいに明確になりつつある。